STEA 私は何時も通り、ステアの入った緑色の瓶を逆さに振った。 ボトッという音と共に毛むくじゃらの生き物が落ちてくる。 普段は窮屈そうなその瓶の中に入っているステアだったから、 出てきた時には嬉しそうに跳ね回るのが常だったのに・・・ どうやら今日は体調が悪いらしい。 ボトッと落ちると体を震わせ、そのままマッタリとされてしまった。 私はこみ上げる怒りを必死に抑えステアに怒鳴る。 「こら!私がセッカク出してあげたんだからシャキッとしなさいよ!」 私の怒声が大きかったせいか、ステアは飛び上がって驚いた。 そのままオズオズと私に近付くと身を私の足にすり寄せる。 『・・・今日は、どこに行くの?』 ステアはやや暗い声で私の頭の中に囁く。 「そうね、今日は誰もが知ってるけど誰も知らないような世界に行きたいなぁ〜」 ウキウキした気持ちを抑えながら私がそう言うのに、 ステアは溜め息を吐いたかのように体を縮める。 『抽象的過ぎるよぉ・・・』 私は思わずカッとなってそのままステアを蹴っ飛ばした。 ステアはヒューンと飛んで、壁にぶつかると相変わらずボトッと落ちた。 「良いから早くしなさいよ!!」 イライラする気持ちを抑えられずに私がそう怒鳴る。 ステアはキュウウと鳴きながらもフラフラと私の側に寄ってきた。 そしてふわっとその身を浮かせると、早速世界が変化してくる。 視界が伸びてそしてまた縮むような・・・ 目の前の世界が回転していって突然落ちたり浮かび上がったり・・・ これまでは何時もと変わらない感覚が続いた。 だが。 突然世界が七色に・・・虹色に輝きだしたかと思ったら、 周りの風景が陽炎のように揺らめき出して、私の五感もあやふやになっていく! 「ちょ、ちょっとステア!!大丈夫なの!?」 振り絞るように私がそうステアに叫ぶ。 するとそのまま、ブレーカーが落ちるかの様に私の意識は唐突に飛んでしまった。 ■こ、ここは何処・・・? |