シグナル ... 生きるという遺書


また一つ嘘をついた。いや、大きな嘘が暴かれたと言った方がいい。
もう十分退治した筈の弱き心。俺は勝ったんだ。そいつらをとうの昔に絶滅したんだと思いこみたい自分が、まだそこにあった。

シグナルを出していた。ひどくわかりづらく、わかりたくもなく、とてもわかりやすいシグナルを。
「生きるのが、とってもとっても苦しいよ...。」なんて情けない大声の叫び。
小さい頃の記憶。動物園で迷子になった。とっても不安なのに泣くことさえできない少年がいた。見つけてもらったその後に、「よく泣かなかったね。偉いね。強い子だね。」なんて言われたものだから、泣かないことは格好いいなんて思いこんでいた。でも...泣けないことはシンドイよ。

ずっと見つけて欲しかった。肩を抱いて「うん、そうか」なんて言って欲しかった。あの日の迷子は迷子のままで、ひとりぼっちで帰り道を探している。帰りたい場所は多分ある。帰り方がわからないだけなんだ。

そんなこと、少しわかった。まだ何か隠してる。でも今はそのままでいい。気に入らないこの変な奴を、前より少し愛しく思えたから。

   死ぬ為じゃない、生きる為でもない。
   生きているうちにって訳もなく、ただ生きるということ。

 わかりにくいこの人格に、まとまりのないこのサイトにピッタリな枕詞。

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