輪廻転生

 輪廻転生って信じるかい?オイラ、予想に反してあまり信じているとはいえないな。それどころかもっと若い時期には、そういった宗教的なものに反発さえ憶えていた。仏教、キリスト教、その他諸々ね。
 ある時、相変わらずくだらないことを大袈裟に思い悩んでいたんだ。あれに成りたい、これも欲しい、それも気になるってね。でもそんなモノ全部を欲しがっていても、なにひとつ手に入らないかも知れないってことは薄々感づいていた。だけど...、さて、どれを捨てたものか、答えの出ない堂々巡り。ひとしきり考えて、投げ出して、また考えて。ふっとね。突然?あるいはボンヤリと?“輪廻転生”ってキーワードが頭をかすめたんだ。
 りんね、リンネ、輪廻?繰り返し?不滅の魂?...いつもなら当然排除される考えが、その時は魅力的に思えて...。もしそうなら...何一つ諦めないでもいいような気がしてね。そいつを信じるか、信じないか。有るか、無いかなんてどうでもいい。ただ、そいつが有ると仮定すると、全てがとても楽に感じられたんだ。
 人生は一度きりじゃないとすると、なにも焦ることはないし、欲しいモノ全部手に入れなくってもいい。ダメならまた次ぎがある。取りあえず、今度の人生では何をしてやろうか。取りあえずそれからだなって。

 悲しいかな僕らは前世の記憶をほとんど持っていない。退行催眠をかけられると子供の頃に戻り、母親の胎内にいる頃に戻り、一部の人はその前まで戻れると聞いたことがある。前世の記憶?...不思議な響き。そんなの信じるかい...?そんなに簡単に信じない方がいいよ。
 物心がついて、やがてそれぞれが何かに興味を憶える。ただの偶然か何かの影響か。でも、もしかしたらほんのちょっぴり残っていた前世の記憶がそうさせているのかも...なんてね。

 

 

 

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