2012



7






7/29


  ある種の陶酔を伴った絶望のことを

    僕らは時々シアワセと呼んだりする




7/20


おはようとサヨナラの間

抱擁と孤独の隙間

求愛にしか出口がない夜の

優しいキスのアリカを探す


麻酔なしで切り落とした記憶の

存在はしていたというだけの残像が


めまい

迷い

剥離したココロの

ココロだったものの残骸


蝉が鳴きはじめる前の

夏の沈黙の中で


おはようと孤独の間

抱擁とサヨナラの隙間


聞かずに触れるけど

指先は放し飼いなんだ



さて、散歩中に見つけたこのスイカ君 

不幸にもフェンスの外に出たまま成長してしまった訳だが… 

発泡スチロールを壊さずに成長できるかという心配と 

食べ頃寸前で盗まれてしまうのではないかという心配が… 


さてさて

近所のやつ

夏が結晶しました

五月に食べたスイカの種を庭に蒔いてみたのです


小さく夏が結晶しました 

家のやつ


7/14



甘い薫りは媚薬である 火照って熱いくらいの肌も 

酔いがもたらす解放から 無防備に絡めてくる腕と 

その向こうの肉片の感触も


知り合いのライブに出掛けた 大里のキングラットは自転車で10分ほどの距離なので

まあ 顔は出す気ではいたのだが

なぜか ドラマーより物持ちがいい僕なので 今夜も スネアとシンバル各種を貸し出してあり

帰りに回収すれば お部屋のドラムセットが即座に叩ける状態に戻せることもあり

電動アシスト君で出掛けたのであった(ほとんど叩かないのに 欠落があると寂しいんだな これが)


彼の曲は複雑怪奇ではあるが もう45回も聞いているので 特別な驚きはない

しかいゲスト参加のヴォーカルの絡みも興味深く まあまあ よかったのだが

(特にスネアとシンバルのサウンドが!?)

動画カメラマンを任じられた為に 体を揺らせたり 膝でビートを刻んだりの

音楽に入り込むきっかけの行為ができなかった

そう 少し消化不良感は残っていたのだろう

彼らの演奏も終わり 明日も仕事なので そこで帰ってもよかったのだが

せっかくだからと対バンのひとバンドも聞いていくことにしたんだな


そこからが悲劇のはじまりである

お客さんは少ないのだけれども 対バンさんのお客さん(関係者?)とおぼしきグループが

そこそこいい具合に出来上がっていたんだな

例の彼らの前衛的演奏にも「イェーイ!!」「ヒューヒュー」とか歓声が入るぐらい

二名ほど そこそこミメウルワシキ婦女子がいたのであるが 

例え メイクが過剰装飾気味であろうが 露出が多かろうが 節度を超えて

ガン見するには ハイネケン2本半では足りなかった

聞こえてしまう酔っぱらいの大きな声の話から推測するに

僕がダブルスコアを少々超えているという残酷な現実が見え隠れして

関係者のアレだったりアレだったり はたまたアレだったりするとアレなので

無意識の自己防衛本能が僕を貝にしていた


対バンの演奏開始である 聞く時の礼儀として そこにある魂の発するエナジーに

敬意を表する意味も込めて 演奏を 音を 発する魂の振動を感じようとする傾向が

僕にはある

自分を客観視出来ないけれども どうやら僕はそんな時 ある種の変な人オーラを

出していたりするらしい それは 演技ではないのでどうしようもないのだ

店内は狭いのだが ギュウギュウというほどでもない 

だが なぜか見ないようにしている僕の右横数十センチに例の婦女子が踊っていたりする

だれにも馴れ馴れしい人っている そういう傾向の人がアルコールの魔法で超自我の抑制を

失ってしまえば どんなことが起るか 大体予想はできる

暑がりな僕のタンクトップから露出した腕とか肩とかにベタベタと触れながら何やら

話しかけてくる 振り向けば推測より結構可愛かったりするので 始末が悪い

僕がうら若き乙女ならセクハラである けしからんことである

いや 非常に喜ばしいことである

どうやら 一緒に踊ろうというようなことを訴えているようだったので

人間関係をギクシャクしない為もあり 大人な僕は椅子から立ち上がった


甘い薫りは媚薬である 火照って熱いくらいの肌も 

酔いがもたらす解放から 無防備に絡めてくる腕と 

その向こうの肉片の感触も

僕の純情が縮み上がる 

うれしいのである もちろん

だが 恐いのである


誰にも優しくされたことがなかった醜い男が 初めて優しくされた女性に

抱いてしまう自然な感情があって だけど無意識に溢れただけの優しさは

名無しの 使い捨ての優しさでしかなく

その後に続く悲劇は百人中百人が思い描くある描写へと流れ落ちる運命にある


そこまで深読みして 僕の二の腕はシアワセとゼツボウを同時に味わった

お金を払わなきゃ 楽になれない滑稽な性を

甘い薫りの主は生涯理解することはないだろう


優しくしないでください


殺すくらいなココロで

優しく触れてください


だけど

明日の朝まで

二の腕の残り香と眠ろう

おやすみ







7/13

真顔でついた嘘を 平気で書き換えて 心が痛まないのは 詩人と天気予報士だけである

7/12


・洗脳が完成した時 美学は産声をあげる

7/8



目を見た瞬間にわかることがある

その子は僕の気配を捕らえた瞬間から

僕の放つ 僕には見えないある種の独特な色合いを

感じ取り 視線は吸盤のように僕に吸い寄せられ

離れることはなかった


僕はプロのミュージシャンである これはまったくのデタラメであるが

ある意味真実なのだ

とある企業において食品販売系の業務などで神のパンを得る僕ではあるのだが

どういう訳か 最近 その業務の内容の一部に 楽器演奏が加わった

加えたのか加えられたのか とにかくも 業務の一部の音楽活動において

米を買う金をもらうようになってしまったのだからしかたがない

夕方の客寄せに何かやれとの命題が出され

「ギター弾いていい?」とため息混じりに 冗談混じりに出てしまった

タメ口が 「いいよっ」と軽く流されちゃったのだからやらない訳にはいかなくなった

してしまったと言った方がいいか


ギタレレっていうウクレレ並みの大きさのギターを会社に持ち込み

やりましたとも ええ

これがまた 

あのね

いや 凄いのなんの

ワタクシも そりゃぁ 生まれてこのかた

何度も人前で演奏させてもらったり

独りっきりストリートライブもどきのデビュー時の

あの絶望にも似た孤独感を乗り越えて生きてきたんですが

(あ、もう死んだ方がましかもしんない)ってほどの苦痛だったので御座います

バンド活動時のように メンバーに埋もれる訳にもいかず

ストリート活動のように 夜に溶け込み風景の一部になる訳にもいかず

全然場違いな場所で 僕の前を通り過ぎる人々の目の冷たさが

あまりにも場違いだとね みなさん 視線をそらすんですよね

あ やばい人だ 見ないことにしよう的感触がね

肌から沁み込むんです

でね これは無理 もうやらない こんなこと出来る訳がないっと思ったんですけど

なにやら 絶対続けなさいとの業務命令が下りましてね

まあ 忙しくて無理って言い張れば 言い逃れはできるのですが

余りにも大きな苦痛を なにか超えてやりたいような 

あるいは 僕の本質に近い場所にある「どMの血」が

その苦痛を いままで味わったことがない種類のその苦痛を欲しがったとでも言いましょうか

もうどれくらいかな 半年くらいかな 記憶が曖昧ですけど持ちこたえておりましてね


続けていくうちに お客様の視線がゆっくり痛くなくなる感覚があるんですね

ああいうものは 恥ずかしがってやると 恥ずかしく見えるのか

ある意味「ハイリコンデ」しまわないと面白がってもらえないみたいでね

そう 最近は そのスイッチの入れ方がわかりかけてきたんです

時々 ホントに時々ですがお客様からお声をかけていただいたり

あと 基本的に子供はそういうの好きなので反応してくれたりするんっです

でも 子供もね 興味があってもチラ見だけだったりして

それほど大きな反応なんて滅多にないんですけど(ようやく 頭のところに繋がります)


目を見た瞬間にわかることがある

その子は僕の気配を捕らえた瞬間から

僕の放つ 僕には見えないある種の独特な色合いを

感じ取り 視線は吸盤のように僕に吸い寄せられ

離れることはなかった

リズムにならない手拍子を それでも心の底からの手拍子をくれるその子は

ワクワクと描かれたような満面の笑顔で

僕がギタレレを弾き終わるまでの10分余りの時間

移動を拒否して おばあちゃん おかあさん おねえさんを従えたまま

僕を感じ続けてくれていた


僕はもしかしたら すごく悪い事をしてしまったのかもしれない

彼が感じ取った高揚は 将来 彼を夢見がちな大人にしてしまうかもしれないのだから


夢はしあわせを約束しない

夢は免罪符でもない


でも僕は君の絶賛で とても小さくて とても素敵な ハッピーをもらったのだけどね



7/5


歌は愛撫だ 

ピンクはバイブだ 

禁煙はパイポだ 

ダメなのはインポだ   


歌は愛撫だ 

ブンブンバイクだ 

チンプンカンプンだ 

つぶやいてもひとりだ 

ジャンプは恍惚だ 

歌は愛撫だ 

歌は愛撫だ

7/4

・純粋を祈れば 容易く濁り  腐敗を嘲っても なお 混濁しえぬもの


7/2

サミシサは  甘ったれたサミシサは  たぶん 詩人には養分なのだろう




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