2012



12月







12/27


・黄昏と宇宙の分水嶺



望んだ幕切れに

辿り着く手前の

宇宙の舞い降りる刹那の

山の端の薄明に


孤独が笑い合う

思いのこもらぬ愛撫のような

気の抜けたシャンパンの

ぬるい甘さだけがような


 黄昏と宇宙の分水嶺

 恋と薄情の明るい家族計画

 浮ついた好きの紛れ込む余地もない

 ひとりよがりのシーツの迷宮


今朝トイレで拾ったメロディーを

もう逢わない君に捧げよう

ハーフディミニッシュに堕落した

汚れた指で奏でよう


 黄昏と宇宙の分水嶺

 あんなに綺麗なさみしさ

 流星群に投げた願いを

 知りたくもない僕らがそこにいた




12/25



・夜に 片想いなんだ



・天ぷら



不感症なその心の   

 衣を剥がす   

  最初の指先でありたいのです


 あなただから逢いたいのです

 あなただから逢いたかった のです




不感症なその心の   

 衣を剥がす   

  最初の指先でありたいのです


  最初の指先でありたかった のです 

  

   最初で最後の指先でありたかったのです 



わかりやすい嘘を少し零した後

黙り込んでうつむいた

その横顔も愛しかった

その肉体に宿る心がボロボロなのは

ボロボロだということだけは痛いほどわかった

感じてしまったんだ



不感症なその心の   

 衣を剥がす   

  最初の指先でありたい


 君だから逢いたい

 君だから逢いたかった 




不感症なその心の   

 衣を剥がす   

  最初の指先でありたい


  最初の指先でありたかった 

  

   最初で最後の指先でありたかった

 



不感症なその心の   

 衣を剥がす   

  最初の指先でありたいのです


 




12/22


溺れる覚悟もなく  救える訳がない

救い続ける覚悟もなく  破滅は踊り続ける




盗みましたね



 こゝろを


三度視線が合ったら 共犯です


僕が君の核心に触れられぬように

 君も僕の痛点をえぐれない




奇妙であることは

 特別であることへの近道ではない


嘘は含まぬという嘘


 真実のみにあらずという真実



12/20





上弦の透明

寒風のアルペジオ

愛撫したい頬を探しながら

ため息を深呼吸にすり替えた


帯電した欲望に

誰彼構わず流す発情

放電の恐怖に汚れて

月を呪って泪する


上弦の透明

真空のスタッカート

ピアニッシモの ア イ シ テ ル

空耳の夜に流した


君に触れられないのなら

いっそ月に触れてみたい

デクレッシェンドの恋の歌

その空耳に誰かのメロディー



・月はココロだ


12/5

心にも探せぬ君を 夜空に探せる訳がない




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