2012



11月






11/28





・詩を書いたことはない 妖精を捕まえようとしたことならある





少し冒険でいてください

少し安心でいてください

少しドキドキでいてください

少しため息でいてください


少し冒険でいてください

少し優しさでいてください

少し悲しみでいてください

少し秘事でいてください


少しの淫美と怠惰のバランスが

この夜どこかにある

真実と嘘の接点で揺らめくような


願望が歪めた未来を

素直に見つめられる

あるひとつの強さがあって


神聖を笑い飛ばす気高き血潮に

こころが魂を思い出す

そんな

たぶんそんな

寿限無の呪文で


少し冒険でいてください

僕はある種の冒険です




11/14



順番待ちの恋慕が股間で脅迫する

爆発限界を超えて飽和した感情が

白濁した沈黙に透明な黒を仕込んだ

召喚した邪気を証言台で罵倒しながら

謎めいた呪文が子宮を刺激する

そのあまりにも微かな可能性を想い

夜を深呼吸する


ぽっと発火して 仄かに碧く燃え尽きる

ため息より素直で 言葉より嘘つきな

こころを 胸ぐらを 心臓を 命を

静かに掻きむしり続ける


苦悩より下劣で

祈りより高貴な


世界中の求愛が

この指先から夜に逃げ出していく

僕はただ脱力し

自動書記のフィルターを外しただけなのだ

神よ

悪魔よ


順番待ちの粘膜はいつか

残酷な自由に蝕まれてしまうだろう


ああ 夜よ 君よ

世界よ 呼吸よ


奴隷なのは

肉か

魂なのか




11/12

WORLD ORDERってのを今更発見 ああ 素敵過ぎる


11/9



風が夜を洗って

そっけない透明が空を覆っていた

僕は君を感じようと心を広げてみた


力のこもらない二人称に

ようやく体温が宿りそうな予感が

確かにあったのだけれど


深呼吸しても夜は静かだ

この漆黒の彼方から

僕を呼ぶ魂のたったひとつもない

たったひとつもない気楽さが

僕をまた寡黙にさせる


風が心を洗って

あっけないサミシサが世界を覆っていた

僕はまた君を感じようと

祈るように瞳を閉じてみたんだ


・ためらう指先に 冒険は冷たい


11/8


さて




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