2009年

6月は涙さ きっと

6/30

そっか  さよなら 6月

6/29

・詩小説

断面を切り取るしか出来ない僕は 
それを積み重ねることで 
季節という短編を書き連ねている 
筆を折るまで続くだろう
退屈な長編の1ページ 
そう独白に満たされたこの詩小説の最小単位を
今夜も
 
起承転結より春夏秋冬 
そして花鳥風月 
雲に隠れた君は 
満ちてから消える旅路の途中で
きっと夏の夜を見つけるんだろう 

少し湿った夜が 
ビオリンの音を優しくする
歯痒くつたないヴィブラートは
まだ僕の願望しかくすぐらないけど 

唯物主義なんて捨てなよ
今夜も思考は散らかしっぱなしさ 
だって溶けそうに眠いんだから

何度も書き直した恋文の
身構えて形骸と化す道端で
最初の落書きもどきの強さを思う

この項は気に入らねえや

6/28

・予感は期待の分身  

・数多の偶然の中から
選別されたひとつにキスした 
運命だなんて叫ばないよ 
意識したら偶然が窒息しちゃうからね  
うまく燃え尽きて
思い出という殿堂に入れたら 
その封印を解いてみようと思ってる 

お気に入りの偶然に 
ウインクして 
荒唐無稽な内世界の冒険を続けよう 
魔法が解けても 
キレイでいてくれたら 
僕はしあわせな芝居を続けられる 

少年のままの無垢な輝きなんて下らないだろ? 
無責任な気まぐれに 
大義名分を与えちゃダメさ 
沢山の修羅場を逃げ惑ってきた僕らは 
残された僅かな未来を 
冒険と呼ぶしかないのかもしれないんだからね


僕の宝島は君そのものだった
触れても住み着いても
冒険に終わりはないんだ
ねえ
魔法が解けても 
キレイでいてくれるかい?

6/27

・木偶の坊

そこに木偶の坊がある
僕はそれを君と呼んだ
削り出しても
切り刻んでも
ダイヤにはならない
金も出てきやしない
ただの木偶の坊だ

でもその中に眠る君は確かにあって
でもただの木偶の坊だと
木漏れ日の中で
土に帰る夢ばかり見ている

削り出されるまでの
秘かで永い切望を
ひた隠しにして
隠したことさえ忘れてしまっている

木偶の坊よ
自らを削り出せ
誤って本質を削ったら
血を流せばいいだけだ
魂の自然治癒力で
少しイビツだけど
もっと強い皮膚は
再生する
必ず

僕は君をそそのかすという罪で
自分も探し出せるかもしれないと夢見る
似たような木偶の坊だ

そこにもここにも木偶の坊がある
僕はそれを僕らと呼んでみる
途中で墓標になっても
いいじゃない


・体温のシンクロ 皮膚の融解 距離感の短い忘却 素直な発情 その後の それでも残る慈愛  君までの永遠の たった1センチを縮められた気がした夜  始まりでも終わりでもなく ただ僕の朝を委ねたいだけ 

・才能 チャンス 名声 金  全てを手に入れて それでも それでも完全な幸福を手に入れられなかった  僕はそう感じている  平安なんてなかったんだろう  一つの時代の象徴が消えた  冥福? いや 次の輪廻では 平凡であれと願うだけさ ソー・ロング マイケル

6/25

・ダメだ 昨日練習で睡眠不足だ とろけちゃうくらい眠い

・余生スキャンダラス

・執着も愛だ

6/24

・失禁未来

禁断を削り出す
触れずに
寸前までの
強く押し固められた汚泥を
岩と化した堆積物を
汗だくになって

砂でこすれただけで破裂しそうな
言わぬが華の貧弱を
絶望のように見つめる

そんな永劫のリフレインのような徒労を
軽やかに超えてみせる一瞬の響き

それが
失禁未来

気取った美学は
汚物にまみれ
露骨が日焼けした肌を
覗かせて笑う

そんな
失禁未来

中途半端な創造を
拒んだ
僕らだけの

失禁未来

ようこそハニー
汚れることは
もう痛みじゃない

6/23

・暗いだけでは 夜と呼べない

・三つの罪 三つの魔法

心を開くのには
殻を溶かす劇薬

ココロに入るには
粘膜を貫通する棘

こころに住み着くには
柔らかなキス

・詩人っていう架空の生き物の実在を証明したいんだ ホントは自分でも信用していない癖にね

・夜は語らない

 
真実を語ろうとは思わない  
まだ不可能を可能だとは
言いたくはないからね 

苦し紛れの嘘にも痕跡は残る  
そして感じてしまうナニカを共有出来た時 
アナタはキミに変わり 
二人は僕らに溶け出すのさ 

夜は語らない 
ただ僕らを満たすだけだよ

6/22

・雨を免罪符に 


雨を免罪符に 
湿ったままの想いと乾いたこころを 
混ぜ合わせている 

滑り止めばかり手に入れて 
この奇妙な孤独保険は
見つめ合うという亜種の孤独を
僕に産み付けてしまったようだ 

火遊びとトキメキの分水嶺とか 
分けたところでどうせ同じ血潮だろう 
夜に洗われて澄んだ空気が 
明日の前でまた
静けさにうずくまる 

雨を免罪符に 
さっき聞こえた声に従おうか 
第一志望の席に
居座り続けているのは君だね 
第二志望に落ちぶれてくれるのも
優しさなんだぜ

・教科書は最新の昔話だ

6/21

・ある事実を思考からシャットダウンする 平和を保つ為の自己防衛  鋭利な感受性は怪我の元だ 火照りながら寒がる足に 浅い眠りの寝返りのリズム ヒンヤリと心地いい体温に絡めたら幸せだろうか 

・見とれるだけの自由


 その夜に忍び込んで 君は僕の静寂を汚した 僕は言い訳のように この心象をギターで爪弾いてみた スパニッシュの情熱とは相反した 言ってみれば薄味の吸い物に似た風味の 枯れるまでの悟りでさえない音像としてのささやきを フラメンコのように踊り出したい衝動を知りながらも  
 それでも蝶のように薄暗がりに舞う影 その豊満にワサビ醤油はあうだろうか でもヴィブラートが得意なこの指先は 弦から肌に浮気するだろう それはもう容易く  遊戯の後の死のような微睡みだけが 僕の口走れない切望なのを 君はどのくらい待てば嗅ぎ付けるだろう 黒いだけの白昼に 光は盲目を救わない

・年中真夜中

 真夜中に目覚める 腕時計のボタンを押してみる 緑色のLEDが心もとな気に「...12:30...」と点灯してみせた はて...、昨晩は疲れてしまっていて 一体何時頃に眠ってしまったのか もう朝のような もしかしたら寝過ぎて昼過ぎになっているのかという感覚さえあったのに 今日は久しぶりの休みなので 多少気は揺るんでいるのかもしれないが 僕は濁ってぼやけた思考の焦点を もう一度消灯してしまった赤い腕時計に合わせる 「p 12:31'07」 まだ理解出来ない 「p」とはPMのことか? さて さて いかん 酔ってはいないはずだ 辺りは まだ真夜中の気配だ 窓からも夜が流れ込んでいる 重たい心身を万年床に座らせて 沈殿していく混濁の上澄みの透明な暗黒にニューロンの活動を集中させる 起き上がり こちらもスリープ状態のマックのマウスをイライラしく動かして起こす ディスプレイの隅の時計もやはり 昼過ぎであることを示していた  電気は生きているのか ネットは? 表示されたままのポーダルサイトをリロードしてみる 更新はないが接続は生きている さんざん探して2ちゃんのVIP板まで足を伸ばすが 真夜中でも生き続けているはずのここにも スレの進行の気配はない 一体何が? 太陽だけでなく全てが眠りほうけてしまっているようだ 終わらない夜にひとりか 本当の独りだ 急に不謹慎であるが面白くなってきた 

 この状態がどのくらい続くのか 食い物は 電気が大丈夫なうちはどうにかなる気がするが まあ 全てはなるようにしかならないし 今はどうでもいい気がする 外に出てみる 飼い犬も寝ているのか僕の気配にも起きてこない だけど街灯や遠いビルの灯りやパチンコ屋のネオンは生きている 車の音は やはり聞こえない 夜に完全に孤立した僕 さて 薄い雲が空を覆っているのか 星も もちろん月も見えない 時間は僕の中でだけ進行している 長い長い夜 人生の半分を閉める夜が全てになっただけで 僕は気楽な休暇を 無期限な自由時間を手に入れたのかもしれない いつか戻ってくるかもしれない太陽の前で いつか目覚めるだろう人々の前で 僕は何事もなかったみたいに深まってやろうかと思った 突き詰めたいものが 僕の目の前に横たわっているのだから

 真夜中に目覚める 時々こんな連想を味わって 僕は短い夜に 短過ぎる夜に もう一度の微睡みにくちづけするんだ 君もかい?

6/20

・落ちてこないので 寝ますよ

6/19

引力だけでは埋没するから
斥力だけではすれ違うから

待ち焦がれても
混線した偶然を証明出来はしない
従属するだけのハーモニーより
むしろ絡み合う対位法のごとき
旋律として

僕はつまずいただけの特別
テーマは絶望の終焉
微動だにしない夜
それは眠りというある種の死
そして夜を食い尽くして
はじめて薄明の世界がうごめき出す

綺麗事を嫌えば絵空事に帰着し...

さて
次の肌は君のがいい

 

・寸止めリップ


寸止めのくちびるが
止められるとは思わない

濡れていれば
なおのこと

6/18

・存在さえ売名行為だ

放し飼いの頭蓋の中の小人の 
自己同一性の放棄の向こうの恍惚 
ナイフを振り回さない狂気 
暗闇の中の薄ら笑いの洞察 
安全地帯の見物人 
見つめるのは鏡の中の微動だにしない自分 
飽きもせずに退屈なあくびを繰り返す 
発作的に動き出すのはいつも 
君という恋を眼前にぶら下げた時だけ 

装飾なしの本質は下品だと 
装飾だらけのくちびるはささやく 

触れないで触れることと 
触れたのに触れぬことの 
深読みさえ反応のひとつだと 
裏腹の痛みに悶える 

間食などするつもりもない 
三食昼寝付きの君が 今は欲しひ


瞑想が微熱にほだされて妄想に落ちる前に
ちっぽけな疲労とかいうものが痛みを伴う重みとして
精神力さえ封じ込める
だけど併発した頭痛に薬物を投与することを
今日の僕は拒んで見せた
比較的微弱な 暗鬱な重さのようなやつだったから
終日「銀河鉄道の夜」のポッドキャストを子守唄に
眠りほうけた
カンパネルラの方だったのか 天に召されたのは
僕は何を読んでいたんだろう
サイワイやカミや そんなものを
理屈から模索しても 
男脳的思考には知の限界が付きまとう
カミが全能であるのなら 全能とい事自体が虚構なのだから
カミが架空に落ちてしまう
思考力の低下は 男脳的美学を
無彩色に染めて
微睡みの中でたけ感じる ある感触を
白昼夢のまま 生かし続ける
本来の気質であるところの僕の感性の中性性 雌雄混合性 両性具有性
それに磨きがかかる
押し倒すなんて生涯出来そうもないから

女の中に混在する淑女と娼婦
本気で愛したら発狂するはずな男どもの
自身の浮気性を棚に上げた無神経
君の日常に紛れ込むおとぎ話
限界としての僕のひ弱なる突端を
あえて晒しておきたいと願うことは
ヌーディスト達の異端を先端だと誤認しているような滑稽だろうか
瞑想にしては濁り過ぎの脳味噌
無条件で飲み込む魂
いや 少しは抵抗してくれなけりゃ
次の1ミリの漂泊を
僕と僕らの共存を
甘いだけじゃない希望を
楽しめない よね

6/16

・雷様ごっこ ふたたび

家に帰ったら雷雲が近づいてきた ベースを(ベースアンプが押し入れに収納してあるのにもかかわらず だって面倒なんだ)ギターアンプに突っ込んでブリブリ弾いていたけど 感電死するのも少し嫌だなと思い シールドコードを抜いた こんな時は雷様になるに限る 急遽雷様ごっこに変更した ゴンタ3号初心者の君に特別に教えよう もしかしたら前に書いたが ベース屋さんの僕の部屋には インテリアとしてドラムセットが鎮座している 普段は竹ヒゴを束ねたようなスティック(名前を知らないのだ)で密やかに叩くのだが(あくまでも趣味の中の更に趣味:近い将来人間コピー技術が開発されたあかつきには独りトリオバンドでライブするのが野望なのだ)こんなゴロゴロウルサい時にはドコドコやる 気を使いつつ普通のスティックでドンドコやる これはドラムじゃない 雷様の太鼓の音だ とかいって遊ぶことが雷様ごっこだ しかし自分で言うのもなんだが 今日のリズムは糞だった 重いというか切れがないというか  なのでヴィヨリンに持ち替えた これはいつもと同じで糞だった 30年以内には人様に聞かせられるようになりたいものだ そして独りトリオバンドに 独り弦楽四重奏をトッピングしたいのだ 友達も少ないのでお客さんもコピーゴンタを大量に投入する予定だ もう眠いので 文章が いや内容が アレになってきた もう寝よ

・水溶性のこころ 水彩画の空

ようやく落ちてきた水滴に
ネズミ色の雲の向こうを想う
平均値に浮かぶ木の葉は
浮遊という自由と不確かを抱えている

君へとささやき続けながら
君色がぼやけてばかりな僕は
卑怯な思わせぶりを振り回しながら
自分でも悪酔いしてしまう愚か者だ

欲しがらなければ失わないなんて
やっぱり嘘だね
僕は膨大な何かを失い続けていて
見返りにちっぽけな妄想を手に入れる
明日になればひからびてしまう
心象の小ぶりな波紋をね

透明が濁るのが怖いんだよ
世界は混濁で出来ていると
知っているのにね

水溶性のこころ 水彩画の空
パステルカラーだけで
太陽の季節を描けるだろうか

6/15

・堂々巡りも早十年 書きはじめてから 何が変わっただろうか  僕は潔い執着を身にまとい 衰弱とは少し違う経年変化の中にいる まだ 昨日の不思議な高揚が残っているみたいだね 少し楽器に触ろうかな 君には触れそうにないから

・窓は開けたまま 覗き見上等の僕の部屋 生きてるって不思議だなぁなんて なんとなく思う平和な夜だね  見せ過ぎて 見つめて欲しい場所がどこなのか わからなくなるんだ ガラクタだらけのこの部屋には ゴミみたいな宝物が溢れてるのさ なにもないのも物語だよ 妄想にはまだひ弱な君が 散らかっている ねえ あ あくびしたら致命的さ その後も面白いんだけどね 

・欲しいのは反応 言葉にならなくてもいい 繋がってれば うっ て来る  言葉なんていい でも言葉がいい  言葉が一番インチキだ でも 言葉しかなくなっちゃったんだ 僕らには  確かなる不確か  意味は感情を超えない お腹減った

・脈絡なんてないんだってば  今 探したでしょ?

・省略し過ぎてわからなくなっても それもまたありだと思う  痛みの前で怖がると苦痛 でも開き直ると 少し快感 どM 自覚は薄いですが

・最近のマイブームは 僕 え? ええ!

・前戯に費やす時間でも手数でもなくてさ  伝わったなんて ホントは自己満足 でも演技にだって込められるものはあるかもしれない 誠心誠意を忘れたら 滑稽な儀式 ああ 簡単なのに どうして どうしてこんなに  甘え過ぎるのも 夢中を演技の一部でさ バレてることも承知で 喜劇にしようともがいてるんだ  夢中って怖いよね 夢中て 知らないんだよね

・ノルマじゃなくてさ 衝動で

・ホントに翻訳できてる? そのこころを

6/14

・書き下ろし小説っていう文字列が 筆下ろし小説って見えたので 今夜は寝ます

・今日という日に点数をつけるなら かなりいい点ですかね 満点でもいいかも  いつも何か足りないと感じている僕だけど その部分を埋めて余りあるくらいの素敵な休日でした 昨日のスタジオ練習から 今日のヴァンフォーレの勝利まで  ご多分に漏れず ビールと高揚で 詩的な閃きなんて落ちてきませんが それでもいいんです っていうか そっちの方が自然なんでしょうか  昼のお酒の あの後に引きずる気怠さもほとんど感じません 國吉選手の初ゴールには 思わずもらい泣きしそうになりました それに あ あまり関係ないけど ライブやるみたいです 7/10の金曜日ね 地元山梨は いつものカズーホールってとこです 昨日練習したのとは別のバンドね 大菩薩の方ね  今 ひょんなことから知り合いにギターを教えているんですが これも楽しいです 目がキラキラしているのを眺めるのは しあわせですよね 僕はね ×ックスは下手ですけど(当社比!)楽器とか教えるの 多分得意ですよ どんな風に憧れて どんな風に甘い夢を見て どんなとこいらへんでつまずいたか よく覚えているんです 大体が褒めて育てる方です 楽しくなけりゃ続きませんからね リズム メロディー ハーモニー そしてその人の中に眠っているパッションの部分ね 歌い出したい 踊り出したい衝動 そこを刺激するんです その先が どんなに素敵な世界なのか まるで見えるようにささやくんです ビジョンも示さず ただコツコツなんて 馬鹿やろうです その人のこころに憑依するみたいにね 感じてみるんです ええ 一応詩人のつもりなので その分野は得意なんです え? 別に酔っちゃいませんよ まあ ちょっとくらいはね いいじゃないですか たまにはね

^^^

自然とは 
自然を忘れること 
愛とは 
存在で愛と同化すること 
内省を客観視すれば 
内省に似た別物に成り下がるってこと 

禁句に寄り添って 
張り詰めた被膜に頬ずりする 
破裂すれば素敵なのだろうけど 
僕の指先は愛撫する未来ばかり夢見て 
爪を立てることを忘れてしまっている  

一番かわいい瞬間を 
僕は目撃した 
そんな確信を僕自身が茶化すこと 

大切なことの前で 
言葉は邪魔ばかりするけど 
はあ... 
出来立ての殺し文句は 
君にしか使わないよ  

ほら 
信じちゃダメだよ

6/13

・ねぇ 産声を翻訳できるかい?

・ずっとそこにいてよ 君という存在自体が 僕の冒険そのものなんだから

^^^

・吸い込むのに時間が掛かるんだよ 
染み込むのには歴史が必要なんだ 
数多の心を見つめるなんてさ 
どだい無理な話なのかもしれないんだ 
でもね 
その数多に吸い込まれたい僕だから 
時間をちょこっとちょうだい 
きっと飲み干してみせるから 

八百万の空耳の耳たぶへ 
キスよりも神聖な指先で 
プニュプニュしたいの 
触りながら眠りたいんだ 

ねえ  
返事なんてなくても 
触るから 
怒らないでね

6/12

・良きにつけ悪しきにつけ サッカーが僕のエナジーを吸い取る 代表戦の体たらくが その記憶を消滅せんとして 思考停止をもたらした たまには休むのもいい 大義名分を枕に 描かぬ日を焦燥もなく過ごす平安を久しぶりに味わう ポッドキャストで太宰の人間失格の全編を聞いていたこの数日 実に五時間余りの陰鬱を楽しみながら 昔読んだ時には似ていると思っていたその男との 決定的相違が身にしみた 致命的に女たらし もて過ぎるのも辛いのだろうが  しかし 心地いい背面飛行を楽しんだ  道化を演じながら しかし僕は彼のようにバレたためしがない これだけは少し誇ってもいいだろうか 何か物語でも書きたくなった 愛欲にまみれたひ弱な詩人の物語でも  そう 取材をしなきゃね ねえ キスしてあげようか

・帰り道で君を見た
帰り道で月を見かけた

二時間の練習で
半分は即興のセッション
それもノイズに近い
無調性で変拍子の
いや ポリリズムのようでもあり
いい加減でもあり
細心の衝動でもある

不治の病の身の上を
笑い話に変えて余生を楽しむように
言葉のSMも交えながら
そんな非日常を退屈な日々にトッピングして

そして
帰り道で君を見た
深夜の帰り道で月を見かけた

とても短いお話の
落としどころを見出せぬまま
午前二時をひとり見つめる
新しい出会いには
それなりのエネルギーがいる
発情を持ち寄って
抱き合う前に
朝になっちまうさ

6/10

・足りないのは君 欲しいのも君 そんな朝だ

6/9

触れれば痛み
隠しても疼き

さて
語る罰か黙する罰かと
夜は僕に選択を迫るけれど

僕は迷わずキスを選んだ

・銃刀法違反の言葉で行こう

6/8

・鼓動の数だけ 物語があって  誰も覗かない夜にも 演じ続ける僕がいる  自由の前で呆然とするのも自由か  せめてその次の展開の為の静であればなんて 言えない  あ 空気が変わった さっきの予言通りの雨の連れてきた 少し冷たい夜かな  庭の紫陽花が 静かで残酷な最期を迎える頃には また僕らの夏が ボクラに降り注ぐんだろうな うん

・迷ったら 空へ

・生きているって下ネタさ

今は空虚でさえない
昔 君がいた場所
濁った粘液に埋め尽くされて
風がくすぐることもなくなってしまった

現実より ずっと後まで
あの日 夢をすり抜けた瞬間まで
昔 僕らがいた場所

忘れないことと 愛しいことの
釣り合わない中間点を
雨の予感があやふやにしてしまう

今は空虚でさえなくなった
昔 僕がいた場所

六月は涙だね
春を見殺しにしても
夏はまだ陣痛の中に留まったままさ

6/7

・『I can speak』とか『黄金風景』とか『女生徒』とか 太宰の短編をポッドキャストで聴く それは小説ではあるけれども 僕には美しい詩編のように心地よく体内に染み込んでいった 一体 言葉など その源であるところの心的振動の前では 形式も様式も長さも 文字通り霞んでしまうものだ そんな風に思ったんだよ  新しい 何か革新的な試みも 強くて鋭い棘のような狂気も必要ない ただ 想いという 僕ら人間が共有し得る波動があれば 何か訳の分からない抑止力の働く機構を ほんの一瞬だけ 麻痺させることができたら 誰もが語りはじめるような気がしてね 今夜もひとり 起爆剤の出来損ないを世界という奈落に投げ込んでみたくなる この大地という球体上では どこも等しく物語の中心を主張できて 微かな相互作用のゆらぎを集約して 地球は真空を回り続けている 祈りも迷いも混ざり合い ボクラは真理とは別の場所で運命を共有し合ってしまうんだね 君の声は聞こえるだろうか 唐突なんて怖がらなくていい 聞こえているだろうか なにか ちょっと楽しくなるのさ 

6/6

・センチメンタルには老化防止の効果があるらしい 

APC電が伝えるところによると このほど全宇宙妄想医学啓蒙学会において センチメンタルと老化についての研究成果が発表された ロバート・センチメートル博士(50045歳)によると 詩的 或いはそれに類似するセンチメンタルが 直感的視覚的年齢(つまり見た目の歳)の判断を大幅に錯乱させる効果があることが発表された センチメンタルを過剰に摂取し続けたラットは実年齢より異性のラットから受ける色目の度合いが2〜68%増えたというのだ だが医薬品メーカーの関係者によると この成果が必ずしも長寿に繋がるとは限らないという点において 製品化へ向けた開発が困難であるかもしれないとの見解を述べている またセンチメンタル成分の抽出については 研究者の間でも疑問視する声も多く上がっている  また同博士は その他の能力においては センチメンタルの過剰摂取は 悪い影響があるかもしれない点も こっそり指摘している (G)

・愛のみでも生きられないのさ

スケッチブックはこころに忍ばせて 
速記したままの乱雑を 
僕の夜に解き放つ 
途切れ途切れのメモ書きが描く 
不規則な一点鎖線の中に 
切り取れない世界を重ねながら 
僕はこの夜に同化していく 

僕が僕らだった頃の僕の片割れが 
僕らを畏れながら寄り添っていた
僕の痛みを感知していたという 
回りくどい世間話の帰り道 

道草を食べ過ぎて 
世界への感度が鈍ってしまってさ 
そんなことがきっと 
歳月とは別の老いに繋がっているのかなとか 

とりとめのない走り書きの 
最初の触覚を恥じない部分が 
まだ新鮮な僕の命に近い気がして 
さて 夜を泳ごうか
見つけられたがっている
ヴァージンなナニカが
ボクラを待っているらしいぜ 

しゃるうぃ?

・一番待ち焦がれ 感じたがっているのは 僕自身なのだということ さね

6/5

・紛れもない今 水滴が詩心の水面にポタリと  エコーのような波紋が織りなす幾何学模様の中に 言い知れぬ奇妙な感傷を見つけて 写実したい衝動が 僕の中で目覚める 創造の神の胎動のような 破滅の天使の嗚咽のような 真空に木霊する旋律の 有り触れた甘美 懐かしい新鮮  嗚呼 神秘よ 言い表せない心象を 僕にくれた神秘よ 願わくばこの僕に 今を書き写す絵の具を与えたまえ 生と死と 愛と邪悪を すべて一筆で書き尽くせる たった一言のため息を

6/4

・探しても見つからないことと 全くないこと  存在に疑いはないんだ だって感じるんだから だけど 探しても探しても見つからないこともある まだ 探そっと

・時間切れの朝 下書きのはずのこの場所に さらに下書きを必要とする僕のこころ 秘密を探して 内緒を作る 禁断を犯して 恍惚と慣れ合う 刺激を含んだ平穏 惰性をいとわぬ純真 時間切れの朝 だけど君を想ふ

6/2

・生きているうちは 手遅れなんてない

・恋の前で 僕らは平等だ

6/1

・貸したのは永遠だったっけ 別に返さなくていいからね  だって僕も時々 その心を妄想で汚しているんだからさ

・今夜の月は 五月を孕んでいた

・時間が速くてかなわん

・そんなこと言われなくてもわかってる ってことは 実はあんまりわかってないものである

・衝動

そこに掻き鳴らしたかった自分がいて
その衝動がまだ息づいていると感じている
そんな質素な素敵があって

だけど未来なんて 
衝動にゴミが混じっただけの明日じゃない?

小さな振動は君の核心だよ
見つけただけで
大儲けなんだよね
ほんとはさ

 前月へ

 

戻る?

お家に帰ろうね