神様がささやく時

 「神様が時々耳元でささやくことがあるんです。」
ある時、私は小馬崎さんに言ったことがある。小馬崎さんとは私の住む県の北西にある
少し有名な高原の町に、都会から移り住んできた、プロのギタリストだ。ピアノの人と2人で
よく海外へ演奏旅行に行っているらしいが、詳しいことはあまり知らない。駅前の小さな
レストランの人と親交があり、頼まれて地元のアマチュアミュージシャンとそこで、たまに
ささやかなライブをやっていたらしい。何回目かの時、友人から「面白いライブがあるよ」と
誘われて、見にいって以来、何度かお目にかかった。その時か、次の時かのライブの打ち上げ
で酔っぱらった私は、そんな言葉を吐いていた。普通の人には絶対に言わないし、理解されない。
また酔っていなければ出てこない、普段はブレーキがかかる、ちっぽけな思い上がり。
「××ちゃん、それは違うよ。神様は君の外に居るんじゃなくて、君の中に居るんだ。」
小馬崎さんは言った。ユーミンは“小さな頃は、神様がいて〜”(あってるかな?)と歌ったが
自分の中の神様、僕の中の神様、実にいい響きだ。そんな、たわいもないやり取りで、人間って
簡単にしあわせになれてしまう生き物。
 あなたの中の神様は見つかりましたか。周りをキョロキョロしても見つかりませんよ。だって
神様はあなたの中に、みんなの中にいるんだから。えっ?僕の中の神様?元気ですよ。今でも
たまに、ささやいてくれます。ささやきは素敵なメロディーに聞こえるんで、出来るだけ“この世”
出してやろうと、日夜、精進努力の最中です。(嘘) そんな絵空事のガラクタに囲まれて、
無駄に月日をやり過ごすのも、また楽しからずや。

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