●三文判も実印も法的効力は同じ![natuin.gif (5061 バイト)]()
三文判はたいていどこの家庭にも二、三個はあるのではないでしょうか。私たちは実印と比べて三文判を押すことを何となく軽く考えてしまうものですが、じつはこれは要注意です。たとえば私たちが誰かと契約を交わし、三文判を押したとします。この場合、三文判だからといってその契約を簡単に破ることはできません。一般的にハンを押すことは「本人の最終的な意思表示」と考えられており、その意味では三文判は実印と同じ重みを持っています。ただ、実印のメリットは、これは間違いなくその人が押したハンであるという証明が確実にできる点です。
●署名、記名押印とは?
署名とは、俗にいうサイン(自署)のことです。筆跡は人によって異なり、筆跡鑑定をすれば署名者を特定できるので、本人のものであるという信頼度は極めて高く、契約をめぐるトラブルでの証拠能力としては、往々にして偽造されたり盗まれたりして使われる可能性がある実印よりも、サインのほうが高いと論じられるほどです。欧米ではサインが一番重要視され、重要な契約を結ぶときも小切手を切るときもみなサインです。日本では署名と捺印を併せて行うことで、証拠として最高の効力を持つことになります。ちなみに、ふつうハンを押すことを押印といいますが、「署名」に合わせて押す場合は特に捺印といいます。記名とは本人の氏名を自署以外の方法、たとえばタイプ、ワープロ、ゴム印、あるいは他人によって書かれたものをいいます。記名だけでは署名の代わりとしてはもちろん認められず、記名の後にハンを押す、いわゆる「記名押印」をすることで初めて署名と同じ効力を持ちます。
●サインを軽く見ない
わが国では長年の慣習として署名より押印を重視する傾向が強く、記名押印あるいは署名した後にさらに捺印するのが一般的です。このためハンさえ押さなければ契約書にサインしても後ですぐ取り消せるなどと、つい考えがちです。しかし、たとえばカードで買い物するときなどサイン一つで契約は成立するのです。ですから、ハンを押さないからといって軽く考えてはいけません。押印同様、サインにも充分注意しましょう。
●拇印・書き判
ハンを持ち合わせていないとき、代わりに拇印を押すことがあります。親指や人差し指で押すことが多いようですが、拇印は一般的に公文書では使いません。また、名前を書いてその周りをさっと丸で囲んで押印の代わりにしたりすることがよくあります。これを「書き判」といいますが、これも公文書には使いません。(ただし、拇印は警察においては、本人を確認する証拠として確実なものとされています。)
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三文判はトラブルのもと 法的効力が実印と同じである三文判は、大量に作られ、全く同じ物が広く出回っています。また、本人の物であるという証明が極めて困難な、あるいは不可能なハンです。 このことは、トラブルの原因にもなります。たとえば私たちが誰かにお金を貸して、いつまでに返してもらうという契約書を作ったとします。借りた相手が契約書に押したハンが三文判であったら、「そんな契約書にハンを押した覚えはない。あなたが勝手にハンを買ってきて押したのだ」と相手側が言い張って、お金を返すのを拒否した場合、私たちは相手が間違いなくハンを押したことを証明するのが大変困難です。重要な取引きをするとき、三文判は問題があまりにも多いのです。 | |