BBS


私のホームページに訪れていただいた記念に、BBSに一言ご感想などを記入していただきたいと思います。
今後の事務所の運営、ホームページの維持管理の仕方に貴重な参考になります。

よろしくお願いいたします。

BBS(掲示板)のページへ


REPORT

 1999年に造ったATO邸のクライアント"だんな"の家造り体験記と、現場の進行写真です。
 これから家を建てられる方の参考になればと"だんな"さんの協力を得て、造りました



完成模型

基礎工事完了時-10月4日

土台、ストーブ回り壁完了10月19日>

上棟完了-10月23日

11月10日、南側外観

11月30日、外壁工事

11月30日、外壁杉板

12月11日、南側外観

12月11日、居間階段

12月19日、北側外観

12月19日、南側外観

12月19日、東南側外観

12月30日、居間内観

12月30日、吹抜見下ろし

12月30日、ストーブ
 家造り体験記byだんな(ATO邸のお施主さん)

 家を建てよう!!

  と思い立ったのが今から2年、1997年の夏頃だったと思う。そのわけは
  1. 2人の子供が大きくなるにつれて現在の借家が手狭になりつつあった。
  2. ローン返済を考えた時、年齢的にいいタイミングだった(当時31才)
  3. 趣味の音楽活動をするのに良い環境が欲しかった。
    等々。
  当然家造りなんて初めてだから何から手をつけたらよいのか皆目検討もつかず、とりあえず
 最近家を建てた友人、知人に話を聞きに行ったり「月刊家の××」とか「なんたらハウジング」
 などの本を買い漁ることから始めた のであった。

 情報収集の日々

  さて、その手の本はたいてい「まずは十分に予算の検討をしましょう」と始まるのであるが
 B型の私は「金なんざアなんとかなるさ」というタイプなので、本当にザッとの予算計画を
 立てただけでその次の項目、「建てたい家のイメージづくりをしましょう」にスキップしてしまった
 (危険です、まねしないでください。金融公庫等の下調べはきちんとやりましょう)。
 雑誌の写真を見たりその手のホームページを検索したり、テレビの「実録、これが手抜き工事
 の実態だ!!」なんてのに「ふむふむ」と感心したりしたりしているうちにあっという間に時は
 過ぎていった。

  「いかん、とりあえずに何か行動に移さねば...」
 とやや焦りはじめた折、ある人物のことが浮上してきたのであった。


 林尚二氏との出会い

  私の趣味の1つにアマチュア無線があり、その縁で懇意になったK藤氏と言う私より10才ほ
 ど年上の方がいる。
 (余談ではあるが前頭部の後退の仕方が良く似ているので兄弟と言われる)。
 
  K藤氏のお宅は吹き抜けと床暖房のある快適なリビング、木のてすりが印象的な2階廊下等
 私達夫婦にとってお気に入りの家であった。
 「ここはひとつK藤氏に相談してみよう」
 とさっそく出かけたところ、実は中学校の先輩である設計士さんにお願いした家であることが判明した。
 「とりえず紹介するから会うだけ会ってみれば」
 というK藤氏の言葉に従い、林氏の事務所を訪れることになったのである。

  さて、その手の本の3項目目には「家づくりをどこに依頼するかきめましょう」とあって工務店、
 ハウスメーカー、設計事務所とある。その中でもっと馴染みが薄いのはやはり設計事務所で
 しょう。大体親の世代ってのは地元の大工さんに家を建ててもらったので一人二人は知り合い
 の大工さんがいるものだし、ハウスメーカーに至ってはガンガンテレビでコマーシャルやってる
 から知らず知らずに、頭にインプットされているものである。設計士さんていうとヒゲをはやして
 長髪後ろで結わえていて
  「この壁は絶対赤でなければ僕のセンスが許さない、ガン!!(机を叩く音)」
 みたいなイメージがあって(私だけでしょうか?)どうもとっつきにくかったのです。
 
  ともあれ事務所でお会いした林氏の発言で驚いたのは、
 「住宅と言ってもいろいろありますし、まずはハウスメーカーの住宅展示場をまわってみたら
  どうでしょうか?」
 と言われたことだ。
 「この人は客を 獲得しようと言う気持ちがないのだろうか?」
 とビックリしたのである。
 と同時にその真摯な姿勢に好感を感じたのも事実である。
  ともあれその時は住宅取得に関するアドバイスをいろいろ頂き、林氏とはしばらく離れる
 こととなる。


 ハウスメーカーへの疑問

  それから週末は住宅展示場めぐりが始まった。イメージづくりにはやはり本物の家を見ること
 が必要だと思う。見学した家の数だけ自分の嗜好がはっきりしてくるはずだ。そうはいっても
 住宅展示場の家は全て車で言えば3ナンバーフル装備車、つまり高いグレードの物ばかりで
 あることを忘れてはならない。その見栄えの良さに惑わされてはいけないのだ。
 
  さて、間取り、外観などのラフなイメージができてきたところで3社のハウスメーカーに簡単な
 見積もりを出してもらった。ちなみに○日○ハウス、住○林業、日○電建である。あらかじめ
 言っておくが、どの会社の方も非常に丁寧な応対で親身になって相談に乗ってくれたことを
 明記しておきたい。

  各社から間取図、外観図、見積もり等の書類をもらい、あーでもない、こーでもないと、
 夜な夜な議論に明け暮れていたのであるが、どうも、どれも「これだ!!」という気持ちになれ
 ない。そんなある日、同僚が家を建てたので見せてもらいに行った。セ○ス○ハ○スで作った、
 ごく一般的な家である。その帰り道、車の中で至った結論は、「K藤氏の家と今の家をくらべて
 みてどうだろうか? 圧倒的にK藤氏の家のほうがずっと個性的でセンスがいいじゃないか。」
 これで決まった。それに加えて、以前からこんな疑問を感じ始めていた。
 「ハウスメーカーのテレビCM、住宅展示場の維持費は結局消費者が負担 している。
 だったらその分のお金を建築費にまわした方がずっといい住宅ができるはずだ」と。

  結局半年以上回り道をして出発点に戻ったわけである。しかしこの期間は家づくりという
 一大イベントについていろいろ勉強したという点において決して無駄な時間ではなかったと自負
 している。


 設計を依頼する

  という風に林尚二氏に設計を依頼することになり、その旨を伝えるためにひさしぶりに事務所
 を訪れた。こちらとしてはもうその気になっているのだが、氏は
 「まずは私が今までに建てた家を見てもらいたい。」
 とまだるっこい事を言う。そこで林氏の車に乗り、数軒の家を見せてもらい、
 とあるお宅、佐々木邸、WORKSを参照、 に至っては中にお邪魔してお茶までごちそうに
 なってしまった。佐々木邸は家の中心に螺旋階段を据えた、個性的かつ明るいお宅で私達も
 大変感動した。ちなみに当然といえば当然だが林邸も御自身の設計である。とくに彼の自宅の
 和室のインパクトは強烈で「やられた!」という感じだった。そんな過程の中で、
 「やはり林氏にお願いするのが一番だ」
 との思いを強めていった。
 
  ここからいよいよ設計に入っていくわけであるが、私の基本コンセプトは
 「おおまかな希望を言って後は任せる。」
  である。いろいろな作品を見せてもらい、そのセンスに惚れて依頼するのだから細かい希望を
 いちいち言ってデザインがチグハグになるのは全くのナンセンス。子供部屋の数、私用の個室、車2台
 分の駐車場、バイク置き場の設置等を告げてあとはお任せしてしまった。
 
  数回の打ち合わせの後、1回目の設計図ができた。上記の希望を全て詰め込んだおかげで
 かなり大きな家になり、結果かなり予算オーバー。と言ってもこの設計図はあくまで叩き台であ
 り、これをもとに本格的な打ち合わせが始まるのである。しかし、この設計図にしても全く同じ
 希望を出したハウスメーカーの図面にくらべてかなり満足のいくものであったのは確かであった。


工務店と契約
 
  何回か打ち合わせを重ね、プランが固まったところで林氏は家の模型を製作し見せてくれた。
 素人にはやはり図面だけではわからない点が多々あるので、この模型の登場は実にうれしい
 ものであり、「いよいよ家づくりが始まるのだ」という気持ちにさせてくれた。
  
  実は当初私はレンガ積みの、いわゆる輸入住宅のような家が希望だったのだが林氏曰く、
 「地味目の別荘」のような設計になった。しかし結果的にはこの設計を大変気に入っている。
 
  さて、この図面をもとに家を建ててくれる工務店を探して契約しなければならない。
 林氏の紹介の2社と地元の工務店の計3社に見積もりを依頼、様々な経過のもとに地元の工
 務店に施工を依頼する事になった。不安はその工務店が設計事務所との仕事に慣れていな
 い事であり、確かにのちのち様々な問題点も出てきて林氏に迷惑をかけてしまったのも事実で
 ある。最終的には無事工事は完了したが、工務店が設計事務所との連係プレーに慣れている
 かどうかは予め良く調べておいた方が良いだろう。
  
  ちなみにここで気になるのは「設計料」。これは建物の種類や大きさにって異なるらしいので
 一概にどのくらいとも言えないが、これだけは断言できる。
 「ハウスメーカーに依頼した場合も支払いに設計料は含まれている。設計事務所に依頼すれば
 少なくともその数倍は仕事をしてくれる」と。


  工事開始!
 
  契約が1999年8月24日、工事着工が9月1日であった。残暑厳しい中、整地、基礎工事が進
 んでいった。あっ、その前に地鎮祭もどきがあった。元来縁起物とかに無関心なたちなのだ
 が一応、親の手前、米、酒、塩で簡単にお清めをした。これは地方によっていろいろなやり方
 があるので一概にどうこう言えない行事の一つだろう。
 
  基礎工事の時は、「以外と小さい家だなあ」と感じたが、いざ棟上げの段になったらその大き
 さにビックリした。とまあ、あれよあれよという間に建て前に至ったわけである。
 この「建て前」というイベント、これも地方によっていろいろやり方もあるようではあるが、
 我が家の場合は地元の工務店と言う事もあり割とていねいにやった感がある。現場に簡単な
 宴席を用意し、大工さんたちに餅や野菜、お酒類をお土産とした(これが家が農家だからかも
 知れないけど)。普段あまり口をきくことのない大工さんたちとのコミュニケーションの場
 と思えばそれもまた大切な場ではあると思う。
 
  実を言うと、工事が開始してからは大工さんと設計士さんの管轄に入ったような感があり、
 それほど施主がすることはなかったような気がする。もちろん壁の色、クロスの種類、トイレや
 システムキッチンの機種、ふすまの模様等、決めることはいろいろあるのだけれどもそれは
 あくまで内装に関する事である。よく「手抜き工事」なんてことが叫ばれる今、信頼できる
 設計士さんに工事を安心しておまかせできたのは本当に幸運であると強く思う。
 
  我が家の外壁の上半分は杉の木貼りで黒っぽいオスモという塗料が塗ってある。元来私が
 が新建材の壁が嫌いで(時間がたつと雨ジミとかがついて汚らしいでショ? みんな同じに
 見えるし)、なんとかしたいと思っていたのを林氏が杉の木貼りという案を出してくれ、
 結果大変満足いく仕上がりとなった。本当は杉の板は1回火で焼くといいらしく、私と林氏で
 焼こうなんて話もあったのだが時間の関係でそれは断念した。
(そのかわり二人とも胃壁はアルコールで大分焼いた)。
 
   日一日出来上がっていく自分の家を見る事は嬉しい反面、なんだか寂しいような気もする。
 それはやはり一生に一度の家づくりと言うイベントが持つ重さのせいではないだろうか。
 我が家はあと数日で完成し、今は引っ越しの準備で段ボール箱に囲まれた毎日である。
 引っ越しは2000年1月6日になる(ちなみにただいま紅白で加山雄三が歌っている)。
 住みはじめてからの感想についてはまた後日レポートする予定。


 番外編何ゆえ薪ストーブ?

  過去にアメリカやイギリスの一般家庭にホームステイした事があるのだが、リビングにある
 暖炉というものの存在がとても気になっていた。決してお金持ちの別荘族のお飾りではなく
 家族が暖をとるための火、なによりも家の中で火を焚くという行為にとても憧れていた。
 
  ハウスメーカー周りをしていた頃、暖炉や薪ストーブについていろいろ話を聞いてみた
 のだがどうも曖昧な解答ばかりで(今から思えばそりゃそうだ。そんなことハウスメーカーの
 営業マンがわかるはずがなかった)値段もかなりする事から、
 「現実問題としてはこりゃ無理だな」と諦めていた。
  
  が、
  林氏に設計を依頼して何度目かの打ち合わせの時、設計図を前に彼は言ってはならない
 一言をポツリとつぶやいた。
 「こういうリビングにはやっぱり薪ストーブが似合うでしょうねえ...」
 この一言で忘れかけていた情熱に火がつき、もう頭は薪ストーブの事で一杯。家づくり=薪
 ストーブになってしまい、家人にも呆れられる程の入れ込みようになってしまった。
  
  我が家のストーブはアメリカVermont Castings社のENCOREという逸品。機能、デザインともに
 すばらしいストーブである。煙突をまっすぐに立ち上げたのでリビングでの存在感も素晴らしい。
 ストーブの購入および施工は長野県原村にある ストーブハウスに お願いした。施工や使用説明
 を丁寧にしてくれた兵藤氏もまた大変素敵な人物である。
 
  今では斧はもちろんチェーンソーまで購入し、すっかり薪ストーブ中心の生活になりつつある。
 今日も薪割りをして腕やら腰やらが痛い。大袈裟なようだけれども、こういうのがライフスタイル
 って言うのかな?なんて思ったりしている。
  ちなみにストーブ取り付けの日、「林さん、確か煙突掃除手伝うって以前言ってましたよねえ」
 と言ったら遠い目をして聞こえない振りをしていた。




■HOME ■PROFILE ■WORKS-1 ■WORKS-2■FAVORITE