吉野秀雄 群馬県高崎市問屋町2-7 問屋街センター前の公園内     ふた方に浅間白根の噴きけむり直く立つかもよゆく春の空           S.48.10.  同  同 宮元町127 高崎公園内            白木蓮の花の千萬青空に白さ刻みてしつもりにけり              S.43.7.  同  同 東貝沢町3-4 高崎商業高校本館前    (表)和気満堂 (裏)夕立雲逆巻きおろす杉原に鳴きて鋭し山時鳥        H.4(1992).12.1  同 安中市磯部 温泉公園内              岩に湧く薬の水に長き夜の暗き燈かげは射し及びたり             碑陰なし  同 富岡市七日市1332 一峰公園内            甘楽野をまさに襲はむ夕立は妙義の峯にしふきそめたり            1968.12.8  同  同  大塩ダム湖畔 いしぶみの丘          製糸場の枳殻垣に添ふ道の小春日にして繭のにほひす             (H.3.11.) 東京都港区三田2-15-45 慶応義塾大学図書館横       図書館の前に沈丁咲くころは恋も試験も苦しかりにき             S.47.7.1 神奈川県鎌倉市二階堂710 瑞泉寺境内         死をいとひ生をもおそれ人間のゆれ定まらぬこゝろ知るのみ          S.43.7.  同   同 長谷1-5-3 鎌倉文学館敷地内       鎌倉の七谷八岬秋たけて白き霞をまとふかなしさ               碑陰なし  同  横須賀市佐島 天神島 天満宮入口   この島を北限とせる浜木綿の身を寄せ合ふがごとき茂りよ   草質[くさだち]といへど逞し浜おもと佐島の磯にいのち根づきし        H.元.11. 新潟県佐渡市(両津)秋津1596 両津郷土博物館前庭        あら海をわたる秋風大佐渡ゆ小佐渡へかけて空に響かふ  同  同 鷲崎 久保田フミエ氏山荘(鶯山荘文学碑林)    何思ふ己れの心か荷を負ひて佐渡の時雨に濡れつつぞ行く  同 新潟市中央区一番堀通町3 県民会館前庭          枝堀にもやふ肥舟ほと/\に朽ちしが上に柳散るなり             S.45.6.  同 三条市本町1-4-26 正楽寺境内         慈母の乳壱百八拾石とかや愛しきことは世に残りけり             S.50.5.  同 三島郡出雲崎町石井町 良寛堂の裏 「民宿まるこ」横  掛網の錘触れ合ふ音すゝし良寛堂の裏濱来れば  同 柏崎市東本町1-4-11 柏崎図書館前      北の海の冬呼ふ風そ砂に這ふ枯莎草(かれこうぶし)を根掘(ねこ)しむはかり   S.46.10.  同  同 野田苛島(いらしま) 故(もたい)吉之助氏宅庭内  越の鄙この家に春の残りゐてわか背よりも高し大手毬の花    わか伯父もわか母もこよひ仏壇より酒に酔ひ痴るゝ我を見まさむ        S.35.5. 長野県松本市寿豊丘百瀬1179 高野健介氏宅庭内    春の雪積みて霽れざるこのいとま檪林に野鳩しば鳴く 静岡県伊豆の国市韮山多田986-1富士見ランド内 リフト乗場近く 此岡の梅よはや咲け真向ひに神さひそゝる富士の挿頭に    夏富士に消のこる雪はいたゝきの斑三すちと細りけらしも     麓雲なゝめに曳きて富士の嶺の重たく西に傾けり見ゆ     天の門に暁うこきいちはやく富士のしら雪朱を流せり              碑陰なし 岐阜県中津川市駒場 桃山公園内 陰陽石   男の根岩女の陰石(ほといし)にきほへとも道をへたてゝ合はなくもあはれ    S.42.陽春  同  同  千旦林1346-14(中洗井) 大林寺境内    やはらかき嫩葉に藤はかかるなり萌ゆるも咲くも山深くして 愛知県西尾市永楽町 みどり川公園内            わが胸の底ひに汝の恃むべき清き泉のなしとせなくに 奈良県奈良市秋篠町757 秋篠寺境内       あまりしゝなきしゝおきのたをやかにみ面もみ腰もたゝうつゝなし       S.44.6.15  同  同 五条町5 故伊熊覚也(歯科)氏宅庭内      東塔に時雨の虹の裾曳けはほと/\しにき旅の情は              S.甲寅(49). 高知県高知市長浜251 「精華園」玄関内 正面   恋ひ来れば袙(あこめ)の千鳥なきしくも縮緬浪の上を飛ひ交ふ         碑陰なし  同 須崎市浦ノ内湾近く 小高い丘(高知市里見宅にあったもの)  入海をさらに細江に漕き来れは家にはの如秋の蝶舞ふ