吉井 勇(2) 広島県尾道市土堂 千光寺山中腹 文学の小みち       千光寺の御堂へのほる石段はわか旅よりも長かりしかな            碑陰なし  同  同 因島土生町 因島公園内 つれじおの石ぶみ      船工場ある島なれば夕潮に異国の船も船かがりせり              (S.56.4.)  同  同  同 重井町 白滝山           白滝の山に登れば眼道広し島あれば海海あれば島  同  同  同 土生港 港湾ビル前           島々の灯ともし頃をゆるやかに生名渡しの船は出づらし  同  同 向島町 瀬戸のうた道          いにしへの海賊島の夜の灯を遠く眺めてなつかしみ居り 山口県山口市湯田温泉 湯田大橋畔              うつくしき螢の群のかゝやきをこのうつし世の光ともかな           S.30.6.  同 岩国市藤生町5-24-6 松巌院(しょうがんいん)の梵鐘 この鐘のおとに平和のひゝきありはるはる遠く海をわたらむ (蛇笏句併刻)    S.31.仲春  同 萩市椎原 吉田松陰生誕地          萩に来てふとおもへらくいまの世を救はむと起つ松陰は誰           S.41.5. 香川県高松市仏生山町甲3215-1 法然寺 鐘楼門の梵鐘      この鐘のひゝかふところ大いなるやはらきの世の礎となれ           S.24.秋彼岸  同 丸亀市一番丁 丸亀城址 天守閣裏側の崖下    人麿の歌かしこしとおもひつゝ海のかなたの沙弥島を見る           碑陰なし  同 仲多度郡琴平町892 金刀比羅宮宝物館裏手    金刀比羅の宮はかしこし船ひとか流し初穂をさゝくるもうへ           明治百年(S.43).5  同  同  まんのう町 満濃池 北東台地       水ならで慈悲のこころをたたえたり大師の池はありがたきかな 同 小豆郡小豆島町 マルキン記念館前   まるきんといへる名はよし濃むらさき醤油の王者これとたたへむ 愛媛県松山市福角町甲1233-1 権現温泉「清泉ホテル」   大伊豫の友国の湯にひたりつゝほのほのとしてものをこそおもへ  同  同 中島町大浦 八幡神社境内    伊豫の海のゆたのたゆたにたたよひてわれやこよひを大浦に来ぬ  同  同 北条鹿島 鹿島周遊道路傍   岩ありて天つ日ありて海ありて伊豫の二見はかしこかりけり          S.47.5.  同  同  同 下難波 鎌大師   腰折の小撫子花はいちらしやいとしき人のなさけにも似て  同 伊予郡砥部町五本松82 陶芸創作館敷地内     陶ものに旅の歌なと書きつくる砥部風流もおもしろきかな           碑陰なし  同 伊予市双海町 八景山         春の日を八景山にのぼり来て松かぜ聴けばしづこころなし  同 今治市伯方町 有津海岸 矢崎公民館裏      人麿かむかしいゆきし海をゆきうまし伯方の島山を見む            S.40.秋10.  同  同 大三島町宮浦5708 大三島役場前鳥居横   伊豫一の宮ある島の大鳥居海にうつりていや白く見ゆ              S.58.1.吉  同  同  同   同  大山祇神社 宝物館前      義経の鎧まばゆし緋縅の真紅の糸もいまが燃ゆがに  同  同 玉川町木地 千疋峠          大君のさくら咲きけりかしこみて千疋峠の花をおろがむ  同  同 宮窪町宮窪2668 宮窪町役場前     ますらをの雄こゝろもちて能島なる荒神の瀬戸の潮鳴を聴く          S.41.4. 愛媛県越智郡上島町岩城東 岩城郷土館玄関前   牧水がむかしの酒のにほひして岩城の夜は寂しかりけり (牧水歌併刻)      S.57.4.吉  同  同  同 弓削下弓削 中崎公園内(町営宿舎ゆげロッジ隣)   うつらうつら春弓削島にわれは来ぬ遠くはるけきことを思いつつ   見はるかす瀬戸のうち海しらじらと日は照りわたり春立ちにけり  同 西条市丹原町古田甲1657 西山興隆寺境内     西山の御寺の秋の深うして弘安の鐘のおとのさやけさ              S.41.霜月  同 上浮穴郡久万高原町西明神 和田氏宅庭内     かにかくに祇園は恋し寐るときも枕の下を水の流るる  同  同   同   若山「関門ホテル」庭内      面河なる五色河原の朝霧にわれ立ち濡れてものをこそ思へ 徳島郡三好市池田町ウエノ 諏訪公園内           春ふかき落花の塵を踏みなから諏訪山みちをのほり来しかな          碑陰なし 高知県高知市筆山町 筆山公園内          つるきたち土佐にきたりぬふるさとをはしめてここに見たるここちに      S.31.4.  同  同 桂浜 坂本竜馬像近く          大土佐の海を見むとてうつらうつら桂の濱にわれは来にけり          S.32.秋  同  同 上町5-6-7 伊野部酒造(昌一氏宅) 中庭     友はまた生きてかあらむこゝちとて土佐路恋しくわれは来にけり        S.34.6.  同  同 同 5-6-41 高知整形外科病院(伊野部淳吉氏宅)庭内  瀧嵐そっと入りきたりものをいふその門口のうつ木おもほゆ    打たるるもよしや玉手に抱かるる君が鼓とならましものを  同 香美市香北町猪野々 猪野沢温泉(「鉱泉宿」)前     寂しけれは御在所山の山桜咲く日もいとゝ待たれぬるかな           S.32.5.吉  同  同  同 奈呂下 猪野々小学校   韮生路の秋深くしてさむさむと山風そふく河風そふく  同  同  同 奈呂下 明法寺境内   いつはりの世に出でむより大土佐の韮生の峡にこもるまされり  同  同  同 奈呂下 神賀橋たもと   寂しければ或る日は酔いて道の邊の石の地蔵に酒たてまつる  同  同  同 奈呂下 郵便局前   物部川山のはざまの風さむみ精霊蜻蛉飛びて日暮るる  同  同  同 初田   ひと夜寝てあした目覚めのすがしさや物部の溪を雲湧きのぼる  同  同  同 西浦   旅のうれひいよいよ深くなるままに土佐の韮生の山峡に来ぬ  同  同  同 柚の木   瀧へゆく石高みちのたそがれを柚の木の童子ひとり登り来  同  同  同 大久保   にごり酒破竹虎杖乾ざかなありてたのしも山の夕餉も  同  同  同 大奈呂   大土佐の御在所山の朝雲はもそろもそろとゆきて親しき  同  同  同 猪野曽   忘れめや土佐の韮生の峡ふかき猪野野の里のありあけの月  同  同  同 松床   ふたたびは世に出でじなど思ひつつ韮生の峡にひとり籠らふ  同  同  同 引立   友よ酔はば杯を置き目を閉じてしばしば聴きぬ物部川音を  同  同  同 奈呂上   山ふかき猪野野の里の星まつり芋の廣葉の飯たてまつる 高知県香美市香北町永瀬   物部川鎖渡舟の音冴えてたそがれ時となりにけらしも  同  同  同 永瀬   茄子を焼き山酒酌みてほのぼのと遠びと思えば夕餉たのしも  同  同 土佐山田町逆川 「龍河洞」出口     絶え間なく石したゝりてあるほとに百千劫はいつか経にけむ          S.32.秋  同 室戸市室戸岬町4058-1 最御崎寺境内       空海をたのみまゐらすこころもてはるはる土佐の国へ来にけり  同 宿毛市沖の島町母島 港南岸           沖の島なつかしけれはあら海もものかはと越す旅ひとわれは  同 土佐清水市足摺岬 叶崎(かなえざき)     土佐ぶみにまづしるすらくこの日われうれしきかもよ叶崎見つ 福岡県福岡市博多区中洲3-1-18 「川丈旅館」前      旅籠屋の名を川丈といひしことなとおもひ出てむかし恋しむ          S.41.7.31  同  同 城南区片江南町4-41-12 文学碑公園内     かにかくに祇園はこひし寐るときも枕のしたを水のなかるゝ           碑陰なし  同 北九州市門司区門司 風師山山上          風師山のぼりて空を仰ぐとき雲と遊ばむこころ起りぬ  同 太宰府市宰府4-15-1 「お石の茶屋」前        太宰府のお石の茶屋に餅くへば旅の愁ひもいつか忘れむ            S.42.秋  同 田川郡添田町英彦山 国民宿舎「ひこさん」食堂 壁面   寂しければ酒ほがひせむこよひかも彦山天狗あらはれて来よ