吉井 勇(1) 北海道札幌市中央区大通西4丁目 道銀前     家ごとにリラの花咲き札幌の人は楽しく生きてあるらし (表裏同じ)     S.56.5.29 群馬県利根郡みなかみ町鹿野沢 湯原橋への途中     あなをかし旅にて得たる寂しさも遊ひのはての寂しさに似る         1966.6.2 東京都大田区池上2-10-5 本行寺門前 溝口家墓域   悼歌 藝のみち映画の道か端的に黄泉にかよふとおもひかけきや       S.32.8. 神奈川県鎌倉市長谷1-5-3 鎌倉文学館敷地内     夏は来ぬ相模の海の南風にわが瞳燃ゆわがこころ燃ゆ  同   同 扇ガ谷3丁目「香風園」前 田中智学碑側面   かまくらに師子王文庫いまはなし吾のこゝろに君なきがごと         S.44.5.11 新潟県佐渡市真野 真野公園内         こころなき旅ひとわれも真野に来て佐渡のみかとの御硯に泣く        S.36.7.  同  同 同  経塚山山頂より少し下がった松林の中 朝かぜに雲曼陀羅を描くとき経塚山はありがたきかも  同 新潟市中央区川端町5-37 料亭「生粋」別館庭内      降らはゆかむと君にちかひたるその新潟に雪降るといふ           碑陰なし  同 新発田市(豊浦)天王1563 市島邸の庭内      山の夜をわれに食ますと新潟の鯵のからすし友はもて来ぬ          碑陰なし 静岡県静岡市葵区梅ケ島5259 「梅薫楼」前        あめつちの大きこころにしたしむと駿河の山の湯どころに来し 富山県富山市八尾町東葛坂 城ケ山公園内 三番城山 君のする古陶かたり聴きてゐぬ越の旅籠に春を待ちつゝ           碑陰なし  同  同  同 西町2267「宮田旅館」前        旅籠屋の古看板に吹雪して飛騨街道をゆくひともなし  同  同  同 上新町2898-1 八尾公民館前     この町のとりわけひとり善人の秋路笛吹く月夜あかりに   吾もいつか越びとさびぬ雪の夜を八尾の衆と炉端酒酌む 山の町秋さびし町屋根の上に石のある町八尾よく見む  同  同  同 宮腰 本法寺境内      古寺に大曼陀羅を見にゆきしおもひでひとつ残し秋来ぬ 福井県越前市(武生)府中1丁目 紫式部公園内         日野嶽の雪を詠みたる紫女の歌ながく残らむことをこそ祈れ          S.33.11. 滋賀県大津市坂本本町4220 比叡山延暦寺 阿弥陀堂前 雷すてに起らすなりぬ秋ふかく大比叡の山しつまりたまへ           S.36.11.  同  同  比叡山ドライブウェイ 途中 登仙台  いにしへの王城の地を見おろしてわかおもふことはるかなるかな (木碑)     碑陰なし  同  同    同         夢見ケ丘 山もよしみつうみもよしうつゝなる夢見の丘にたゝすむ我は (木碑)  同  同  打出浜1-1 琵琶湖文化館前の湖中  うつしよの夢をうつゝに見せしめぬ琵琶湖のうへにうかふ美の城        S.36.3. 京都府京都市山科区勧修寺下ノ茶町勧修寺内仏光寺境内   そのむかし臙脂をぬりしくちびるに筆をふくみて書く文ぞこれ 京都府京都市東山区林下町 知恩院門前       かく大き愛のすかたをいまた見すこの群像に涙しなから            S.35.9.21  同  同  同 祇園町 白川新橋畔       かにかくに祇園はこひし寐るときも枕のしたを水のなかるゝ          S.30.11.8  同  同 中京区麸屋町通三条下ル白壁町431 「炭屋旅館」中庭 京に来てうれしとおもふしつかなる利休このみの宿のひと夜を          碑陰なし 京都府京都市中京区三条室町角 染物商社の前     洛中の五色の辻は家居してみ祖の業をいまにつたふる  同  同 右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町461 清涼寺境内  いまもなほなつかしとおもふ夕霧の墓にまうてしかへり路の雨         S.35.11.11  同  同  同 嵯峨 落柿舎近く 去来墓入口    新緑のまつりの歌をよむことも嵯峨風流のひとつなるべし           碑陰なし  同  同  同 嵯峨二尊院門前長神町 二尊院附堂   渓仙の墓をもとめて言葉なくわれらのぼりゆく落葉のみちを (八一 信綱歌併刻) 同  同  同 同 大沢町 大沢池畔    年ひとつ加ふることもたのしみとしてしつかなる老に入らまし          S.36.8.16  同  同 下京区西木屋町四条上ル 「喫茶ソワレ」入口   珈琲の香にむせひたるゆふへより夢見るひとゝなりにけらしな         1967.3.15  同  同  同 西新屋敷 老人介護センター外壁   宝暦のむかしの夢は見は見つれ夜半の投節聴くよしもなし  同 八幡市八幡女郎花79 松花堂門内          昭乗といへる隠者の住みし盧近くにあるをうれしみて寐る           1985.10.  同  同 八幡月夜田 宝青庵(ほうしょうあん)庭内 こゝに住みしかたみにせよと地蔵佛われに呉れたり洛南の友           S.62.5.  同 綾部市味方町 紫水ケ丘公園 紫水閣庭内    綾部川の水のひゞきの中に聴く人の心の高きしらべを             碑陰なし  同  同  同   同              うつくしき綾部の空を見つゝ思ふいまも飛へるや金色の鳩           碑陰なし 奈良県奈良市雑司町406 東大寺観音院庭内     みほとけの次ぎには壷をよろこへるわか海雲は壷法師かも           S.61.1.25  同  同 川上町「ホテル大和山荘」     奈良にきてものを思へばしめやかに今もむなほ吹く天平の風 和歌山県伊都郡高野町高野山 奥の院参道 鶴沢清六墓域  すめらぎとともに聴けはの清六のちからこめたる撥おともよし  兵庫県たつの市龍野町富永100 ヒガシマル醤油(株) 第一工場事務所前     ほのかなる人のなさけに似るものか龍野醤油のうす口の味           S.47.春  同 豊岡市城崎町湯島373 「ゆとうや旅館」浴場への廊下  城の崎の湯に浴むときはうつし世の愁ひかなしみすへてわするゝ        碑陰なし  同  同  同 同 565 まんだら湯前    曼陀羅湯の名さえかしこしありがたき佛の慈悲に浴むとおもへば        碑陰なし