與謝野寛・晶子(5) 島根県松江市美保関町美保関(地蔵崎)   地蔵崎わが乗る船も大山も沖の御前も紺青のうへ   地蔵崎波路のはての海の気のかげろうとのみ見ゆる隠岐かな(晶子)  同 仁多郡奥出雲町(横田)大谷856 絲原記念館中庭    おのづから山のあるじのこころなり清き岩間に鳴れる水おと   林泉に松の山をば重ねたり五月の風を人ききぬべく(晶子) 山口県周南市(徳山) 太華山                 彼のあたり二十の前の我を知る蛇島[さしま]仙しま黒髪の島          碑陰なし 香川県善通寺市善通寺町3-3-1 善通寺西院 遍照閣前    善通寺秋の夕にわかたつも大師若くしてふみませる土             碑陰なし  同  同  吉原町1091 出釈迦寺   たもとぶり西上人も見しならん熊野の山のわが道に立つ   讃岐路は浄土めきたり秋の日の五岳のおくにおつることさへ(晶子)  同 仲多度郡琴平町 金刀比羅宮参道   船人の流し初穂の枝を見よ信ずるもの放胆を見よ(晶子) 愛媛県松山市石手2-9-21 石手寺境内      伊予の秋石手の寺の香盤に海のいろして立つ煙かな(晶子)           S.50.11.吉  同  同 末広町16-3 正宗寺境内 鳴雪髯塔の前   子規居士と鳴雪翁の居たまへる伊予の御寺の秋の夕暮(晶子)  同 四国中央市村松町340-1 佐々木二六(二六焼)氏宅前   四阪なる銅の煙におとらめや伊豫の二六のすゑものゝかま(晶子)        碑陰なし  同  同   川之江町 川之江城址 城山公園内    姫が嶽海に身投ぐるいやはても馬して入りぬ大名の娘は(晶子)         S.54.3.  同  同   川之江町2567 川之江八幡神社境内   燧灘はるかに秋の沖はれて水脈わかれたり紺青と白   川之江の港の成りぬ波風にまたも破れじ百船の夢(晶子)            碑陰なし  同  同    同  馬場2区 八将神社参道脇 (金光教会裏)   空を見て峠を行けばおもふかな金生川もその空に鳴る  うつくしき秋の木の葉のこゝちする伊豫の小嶋の浮ぶ海かな(晶子)       H.2.(1990)  同  同    同  2257 県立川之江高等学校校庭   ここにして窓に入る山みな青しまして風吹く燧灘より   少女たち錦の袍にまさりたる山のこころに包まれてあれ(晶子) 大分県玖珠郡九重町湯坪 瀬の本高原 「九重スカイランド」裏側  (表)大いなる師にちかつくと似たるかな久住の山に引かるる心   (裏)久住山阿蘇のさかひをする谷の外は襞さへ無き裾野かな(晶子)       碑陰なし  同 豊後大野市犬飼町田原 犬飼石仏横     犬飼の山の石佛龕さえもともに染みたり淡き朱の色(晶子)  同 竹田市直入町長湯 権現山公園(小学校裏)     芹川の湯の宿に来て灯のもとに秋を覚ゆる山の夕立              碑陰なし  同  同  同 同   同         蛾となりてやがてはここへ飛びて来ん芹川に添ふ小きともし火(晶子)      碑陰なし  同  同  同 同   同         湯の原の雨山に満ちその雨の錆の如くに浮ぶ霧かな(晶子)           碑陰なし 同  同  同 同  長湯温泉 大丸旅館前    芹川の湯の宿に来て灯のもとに秋を覚ゆる山の夕立   湯の原の雨山に満ちその雨の錆の如くに浮かぶ霧かな(晶子)  同  同  同 同   同   やすらぎの宿「かどや旅館」前   蛾となりてやがてここに飛びて来ん芹川に添ふ小さきともし灯(晶子)  同  同  同 同   同   森田恭子氏宅前   山川のならびにやがて水曲がり天の川ほどに見ゆる川(晶子) 大分県竹田市久住町平木 県畜産試験場入口 楢木の下     久住よし四百の齢ある楢も門守とする牛馬の家(晶子)             S.53.6.  同  同  同 久住4050-2 ドライブイン「星降る館」駐車場前 大いなる師にちかづくと似たるかな久住の山に引かるる心    九州のあるが中にも高嶺なる九住の裾野うらがれにけり(晶子)  同  同  同  あざみ台       久住山阿蘇のさかひをする谷の外は襞さえ無き裾野かな(晶子) 福岡県福岡市城南区片江南町4-41-12 文学碑公園内   やははたのあつき血潮にふれも見てさひしからすや道を説く君(晶子)     碑陰なし 佐賀県小城市小城町 JR小城駅前   思へども肥前の小城はなほ遠し門司の港のかかり船より   またもなき人の子の父歌の人われに優しき友なる博士(晶子) 長崎県佐世保市下京町 夜店通り             「五足の靴文学碑」(詩「夜店」)                      1983.3. 熊本県玉名郡長洲町 長洲港入口                 「五足の靴」文学碑  同 阿蘇市内牧145-1 「蘇山郷」庭内       霧の色ひときは黒しかの空にありて煙るか阿蘇の頂             碑陰なし  同  同  同     同           うす霧や大観峰によりそひて朝がほのさく阿蘇の山荘(晶子)         碑陰なし  同 上天草市松島町合津 4号橋際 「天草パールセンター」前 天草の島のあひだの夕焼に舟もその身も染みて人釣る   天草の松島ここに浮ぶなり西海のいろむらさきにして(晶子)         S.49.6.  同 天草市天草町高浜 十三仏公園       天草の十三仏のやまに見る海の入日とむらさきの波   天草の西高浜のしろき磯江蘇省より秋風ぞふく(晶子)            S.41.秋  同 人吉市浪床町3008 東林寺境内   はしを越え中河原こえはしを越え先づ見んとする球磨の禅院(晶子) 宮崎県えびの市末永 白鳥森林公園内 白鳥温泉下湯(神社近く)   きり島のしら鳥の山青空を木の間に置きてしづくするかな     霧島の白鳥の山しら雲をつばさとすれど地を捨てぬかな(晶子) 鹿児島県薩摩郡さつま町(宮之城)虎居 轟の瀬公園内 さかしまに落ちつと見ればほがらかに轟の早瀬わが船すべる    轟きの瀬は川の火ぞ少年はつぶてとなりて焔[ほのほ]に遊ぶ(晶子)      S.41.3.吉  同  揖宿郡頴娃町 背平公園内    迫平(せびら)まで我れを追ひ来て松かげに瓜を裂くなり頴娃(えい)の村をさ    片はしを迫平に置きて大海の開聞が岳立てるなりけり(晶子)