與謝野寛・晶子(1) 北海道函館市住吉町16 立待岬          浜菊を郁雨が引きて根に添ふる立待岬の岩かげの土 啄木の草稿岡田先生の顔も忘れじはこだてのこと(晶子)           S.32.8.15  同 虻田郡洞爺湖町向洞爺 中央桟橋近く      船つけば向洞爺の桟橋に並木を出でて待てるさとびと  山畑にしら雲ほどのかげらふの立ちて洞爺の梅さくら咲く(晶子)       S.53.6.4  同  同 豊浦町礼文華 美の岬 文学碑公園内  有珠の峰礼文の磯の大岩のならぶ中にも我を見送る   数しらぬ虹となりても掛かるなり羊蹄山の六月の雪(晶子)          S.62.3. 青森県北津軽郡板柳町灰沼 多目的ホール「あぷる」前   神さびてあおげば高き住吉の松にむかしをたれにとわまし    つがる獅子わがためまいぬ夕月夜林檎の畑をいでてきつれば(晶子)  同  同   同 板柳土井239-3 板柳町役場隣 アップルモール   わが妻ととりて嗅ぎつつものを書く津軽のりんご赤くゆたけし    晶子「幻の銀杏」より(詩)   まばゆかる大和錦と云える名の林檎の枝にかかる月かな(晶子) 岩手県盛岡市玉山区渋民字渋民9 啄木記念館庭内        古びたる国禁の書にはさまれて日付のあらぬ啄木の文            1990.2.10  同  同  同  同      同        いつしかと心の上にあとかたもあらずなるべき人と思はず(晶子)       1990.2.10 岩手県花巻市湯本 県立自然公園散策路入口   山あまたまろき緑を重ねたるなかに音しぬ台川の水   深山なるじかに通ふ声もして岩にひろがる釜ふちの滝(晶子) 宮城県柴田郡川崎町青根温泉1-1 「不忘閣高原ホテル」庭内    石風呂の石も泉も青き夜に人とゆあみぬ初秋の月  碧瑠璃の川の姿すいにしへの奥の大守の青根のゆぶね(晶子)         S.35.9. 山形県鶴岡市温海町温海 葉月橋袂     さみだれの出羽の谷間の朝市に傘してうるはおほむね女(晶子)        (S.45.12.) 福島県福島市飯坂町 愛宕山公園入口      飯坂のはりがね橋に雫するあつまの山の水色のかぜ(晶子)          (S.43.8.10)  同 会津若松市花春町8-1 御薬園内    秋風に荷葉うらがれ香を放つおん薬園の池をめぐれば(晶子)         碑陰なし  同  同   東山町湯本川向222 くつろぎ宿「新滝」前   湯の川の第一橋をわがこゆる秋の夕のひがし山かな(晶子)          (S.57.5.29) 茨城県ひたちなか市湊中央1丁目 みなと公園内    那加川の海に入るなるいやはての海門橋の白き夕くれ(晶子)(小山いと子文併刻) S.55.3. 栃木県那須塩原市塩原770 「ホテルニューますや」前    今日遊ぶ高き溪間の路尽きず山のあらはる空のあらはる  真夜中の塩原山の冷たさを假りにわが知る洞門の道(晶子)          S.60.春 群馬県利根郡みなかみ町川上地区 諏訪神社 水上の諏訪のやしろの杉むらの中のさくらの白き初夏(晶子)         (S.57.11.1)  同  同  同   同  諏訪峡笹笛橋袂    岩の群おごれど阻むちからなし矢を射つつ行く若き利根川 (晶子)       (S.57.11.1)  同  同  同   同   同  大橋の欄干    わが友がよもぎいろのあわせ着て仰げる雲の谷川が嶽(晶子)  同  同  同   JR湯桧曽駅近くの路傍     その奥に谷川岳の雪ひかり半ば若葉に隠れたる橋              (S.57.11.1)  同  同  同   永井 旧永井本陣跡      訪ねたる永井本陣戸を開らき明りを呼べば通ふ秋風(晶子)          S.40.10.  同  同  同   永井650 法師温泉「長寿館」玄関口の庭     草まくら手枕に似じ借らざらん山のいでゆの丸太のまくら(晶子) 群馬県利根郡みなかみ町猿ケ京温泉1175 三国路紀行文学館庭内  霧ふかし路は空にも入りたるや一音の雷子の国に鳴る   こすもすと菊ダリヤなど少し咲き里人は言う猿ケ京城(晶子)  同 渋川市伊香保町伊香保 石段街 石段の蹴込み      「伊香保の街」(晶子) 埼玉県比企郡嵐山町 「武蔵嵐山渓谷」   槻の川赤柄の傘をさす松の立ち並びたる山のしののめ(晶子) 千葉県千葉市若葉区野呂町 野呂PA 文学の森           「上総の勝浦」(晶子)  同 香取市(佐原) 津宮483 鳥居河岸         かきつばた香取の神の津の宮の宿屋に上る板の仮橋(晶子)          H.2庚午.11.3  同 山武市蓮沼ホ601(南浜) 「小川荘」前庭   きはやかに黒きはだかのわがかげをまひるの土にうつす天つ日        S.58.10.4  同 勝浦市浜勝浦 国民宿舎「鳴海(なるか)荘」跡地前         「上総の勝浦」(晶子)                          S.54.8. 東京都渋谷区宇田川町21-1 西武百貨店 AB館の間  明治三十四年詩人與謝野鉄幹は妻晶子とともに新居をこの地の…       S.43.4.12  同  同 道玄坂2丁目 道玄坂上      母遠うてひとみしたしき西の山さがみか知らず雨雲かゝる(晶子)       S.55.庚申.吉日  同 杉並区桃井2-24-18 誠心保育園東玄関前   この世にも命長くありし君更に光の無量寿に入る    幸ひのまどかなりける世にみせて刀自ははちすの座をえたりけん(晶子)  同 八王子市裏高尾町420 小仏関所跡          すがすがし関所の跡の松風にとこしへ聞くは大人たちのこゑ         S.5.庚午5. 同 伊豆諸島大島町 波浮港   渡し舟傘を立てたる人のせて波浮の入り江にけぶる春雨   桜咲きそこはかとなく船動く波浮の港に雨の降るかな(晶子)