前 登志夫 奈良県吉野郡東吉野村 木津(こつ)峠 高見川畔    朴の花たかだかと咲くまひるまをみなかみにさびし高見の山は  同  同 黒滝村中戸 赤岩の下流 黒滝川左岸(橋の近く)       水底に赤岩敷ける恋ほしめば丹生川上に注ぎゆく水    ものみなはわれより遠しみなそこに岩炎ゆる見ゆ雪の来るまへ   和歌山県田辺市本宮町本宮1110 熊野本宮大社境内    那智滝のひび(韻)きをもちて本宮にぬか(額)づくわれや生きむとぞする 前川佐美雄 新潟県佐渡市鷲崎 久保田フミエ氏山荘(鶯山荘文学碑林)  ここはこれ佐渡国分寺の跡どころ五月二十二日痩せわらび摘む 京都府京都市伏見区深草薮之内町68 伏見稲荷大社 楼門前   あかあかとたたあかあかと照りゐれは伏見稲荷の神と思ひぬ           S.61.4.吉 奈良県奈良市春日野町160 万葉植物園内          浅き水にすゝき風さと走るさへおどろきやすく鹿の子のゐる          S.46.11.21  同  同 西ノ京町457 薬師寺境内                    送りくる小法師が照らす灯あかりに茎青かりき夜の曼殊紗華   同 桜井市茅原1422 桧原神社境内         春かすみいよゝ濃くなるまひるまの何も見えねは大和と思へ          S.46.11.21  同  同 箸中車谷 堀井甚一郎氏宅庭内      椿の花あまた落ちゐれば出でて踏むま新しきは音にたちつる  同 高市郡明日香村橘532 橘寺西門脇      うすつきてとこに日かある目眩みてふる国飛鳥のみちかへりくる        S.46.11.21  同 宇陀市榛原区福地255 美榛苑(保養センター)   あかあかとつつじ花咲く鳥見山をわがあふぎつつほうとしてをり  同 生駒市南田原町 お松の宮バス停近く 稚桜碑   昨日まで学びのみちにわが子らといそしみたりし眞少女なるを         S.34.3.1  同 葛城市平岡9 極楽寺境内 本堂前     墓山に笹のはすれのおとすなりこゝにねむれる祖父を思ふ           S.46.8.  同  同 新庄 屋敷山公園グランド 国旗掲揚台横 いさきよき時もあるもの葛城のあを根に懸かる雲晴れゆけは          S.47.11.吉 鳥取県鳥取市佐治町高山 因州紙すき工場の下     とゝろきてみつの流るゝ紙すき場佐治谷あひに一夜ねにける          S.47.4.  同 八頭郡八頭町北山 町山村開発文化センター前(フルーツの里)  ひとならば五歳六歳のころほひををさな牛啼く春のあけぼの 前田 晁 山梨県山梨市万力1830 山梨市民会館前  一人の心は万人の心文化の根源はここにある                 S.34.11.1 前田純孝 兵庫県明石市天文町 小さな忠度公園内   風ふけば松の枝鳴る枝なれば明石を思ふ妹と子を思ふ  同 美方郡新温泉町諸寄 基幹集落センター        鷄のこゑ朗にひゝく春の日に光のとけき桃の一村 (与謝野寛歌併刻)      S.19.5.  同  同  同   岡の浜(海岸国道脇)    いくとせの前の落葉の上にまた落葉かさなり落葉かさなる           S.44.秋  同  同  同  居組 汐吹園地            風ふけば松の枝鳴る枝なれば明石を思ふ妹と子をおもふ  同  同  同   春来峠               牛の背に我も乗せすや草刈女春来三里はあふ人もなし  同  同  同  浜坂 先人記念館 「以命亭」   磁石の針ふり乱さんは無益なり磁石はつひに北を指す針