斎藤茂吉(3) 神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300 強羅公園内  おのつから寂しくもあるかゆふぐれて雲は大きく谿に沈みぬ          S.30.3. 新潟県佐渡市泉 文学公園(黒木御所跡)   高山に対ふ宮居のあとどころかなしみふかき春ゆかむとす 同 長岡市渡里町3-21 西福寺境内        みほとけの大きなげきのきはまりをとはにつたへてひゞきわたらむ(虚子句併刻) S.46.11. 長野県下高井郡山ノ内町 穂波温泉入口(栄橋袂)  湯田中の川原に立てば北がはははつかに白く妙高の山             S.59.3.吉  同 諏訪郡富士見町 富士見高原 原の茶屋      高原尓足乎留而目守良無加飛騨乃左加比乃雲比曽武山 (高原に足をとどめてまもらむか飛騨のさかひの雪ひそむ山) S.40.10.17  同  同  同  富士見3010-12 「白林荘」庭内    八千くさの朝なゆふなに咲きにほふふじ美が原に我は来にけり         S.甲辰(39).夏日  同  同 下諏訪町高木 津島神社境内      諏訪のうみに遠白く立つ流波つばらつばらに見んと思へや           S.63.11.吉  同 下伊那郡高森町下市田(出砂原(ださはら)) 明神橋袂  向うより瀬の白波の激ち来る天龍川におり立ちにけり             S.54.11.6 同 飯田市下瀬 大泉寺   おのづからなりのまにまにとゞろきてくしき山みずやうまし山がわ  同 木曽郡南木曽町広瀬 大平街道 木曽見茶屋前  麓にはあららぎといふ村ありて吾にかなしき名をぞとどろむる  同  同  同   大平宿              雲さむき天の涯にはつかなる萌黄空ありそのなかの山 静岡県伊東市物見が丘2-30 仏現寺梵鐘        朝ゆふに打つ鐘の音はあまひゞき地ひゞき永遠にひゞきわたらむ(2句5首併刻)  S.23.1. 岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23 谷汲山華厳寺境内      谷汲はしつかなる寺くれなゐのうめ干ほしぬ日のくるゝ迄           S.45.4.  同  同  同  城台山公園 文学碑の径    夕やみの空をとほりていつへなる水にかもゆくひとつ螢は           碑陰なし 愛知県岡崎市中町北野東20 甲山中学校校庭     夕やみに風たちぬればほの/\とつつじの花は散りにけるかも 滋賀県米原市番場 蓮華寺境内         松風のおと聴く時はいにしへの聖のことく我は寂しむ             S.46.9.24 奈良県吉野郡川上村大滝346 龍泉寺境内         瀧のべの龍泉寺にて夏ふけし白さるすべり見つつ旅人             H.2.5.吉 和歌山県西牟婁郡白浜町湯崎1665 「牟婁湯」の前    ふる国の磯のいで湯にたづさはり夏の日の海に落ちゆくを見つ  同  田辺市中辺路町近露 民宿「アイリスパーク」前 いにしへのすめらみかども中辺路を越えたまひたりのこる真清水        S.48.11.17  同  新宮市熊野川町 熊野古道 大雲取越       まさびしきものとぞ思ふたたなづく青山のまの川原を見れば  同   同  同    同    同             紀伊のくに大雲取の峰ごえに一足ごとにわが汗はおつ 兵庫県伊丹市森本1-86 神津小学校正門前     猪名川の香はしき魚を前に置き食ふも食はぬも君がまに/\          S.61.3.  同 神崎郡福崎町高岡板坂1912 応聖寺境内     いにしへも今のうつつも悲しくて沙羅雙樹の花散りにけるかも  同 洲本市宇原 第二文学の森       あさ明けて鏡にうつるくれなゐの山茶花のはなみらくしたのし 兵庫県洲本市宇原 第三文学の森   あさ明けて鏡にうつるくれなゐの山茶花のはなみらくしたのし 岡山県久米郡久米南町 笛吹川歌碑公園内(誕生寺に隣接)  二つ居りて啼くこゑ聞けば相呼ばふ鳥がね悲し山の月夜に 鳥取県東伯郡三朝町三朝 薬師堂横           したしきはうす紅の合歓の花むらかり匂ふ旅のやとりに             S.56.3. 島根県大田市三瓶町志学 三瓶簡易保険保養センター   三瓶山の野にこもりたるこの沼を一たび見つつ二たびも見る 島根県邑智郡美郷町湯抱 鴨山公園内       人麿がつひのいのちを終はりたる鴨山をしも此處と定めむ            S.28.4.  同  同  同 湯抱265-1 斎藤茂吉鴨山記念館前     夢のごとく「鴨山」戀ひてわれは来ぬ誰も見しらぬその「鴨山」を  同  同  同  同     同   年まねくわれの恋ひにし鴨山をゆめかとぞおもふあひ対ひつる  同  同  同 湯抱「日の出旅館」庭内   鴨山を二たび見つつ我心もゆるが如しひとに言はなくに  同  同  同 同  県道沿い         いさぎよく霜ふるらむか鴨山がすでに紅葉せるその色みれば  同  同  同 同   同          つきつめておもへば歌は寂しかり鴨山にふるつゆじものごと 山口県下関市細江町2-3-8 下関警察署前   雨雲のみだれ移るを車窓よりわが見つつ居り関門の海 愛媛県松山市道後湯月町5-4 宝厳寺境内         あかゝゝと一本の道通りたり霊剋る我が命なりけり 大分県佐伯市大手町132-4 もと上尾医院庭内         山脈が波動をなせる美しさたゞに白しと歌ひけるかも             1957.臘月(12).  同 日田市大山町 中央梅林公園内       近よりて笑ひせしむることなかれ白梅の園にをとめひとり立つ 福岡県福岡市城南区片江4-41-12 文学碑公園内  おのつから寂しくもあるかゆふぐれて雲は大きく谿に沈みぬ          碑陰なし 佐賀県佐賀市富士町古湯873 「扇屋」裏   うつせみの病やしなふ寂しさは川上川のみなもとどころ            S.37.9. 同 鹿島市古枝下古枝1855 祐徳稲荷神社外苑 小公園の上 祐徳院稲荷にも吾等まうでたり遠く旅来しことを語りて             碑陰なし  同 嬉野市嬉野町下宿2436 国立嬉野病院    すきとほるいで湯の中にこもごもの思ひまつはり限りもなしも  同  同  同 同 2091 嬉野館横 ゲートボール場 わが病やうやく癒えぬと思ふまで嬉野の山秋ふけむとす  同 唐津市東城内8-1 唐津城址(舞鶴公園) 藤棚近く   松浦河月あかくして人の世のかなしみさへも隠さふべしや           S.51.11.10  同  同  同 4-3 「旅館きむら」裏側       肥前なる唐津の濱にやどりして唖のごとくに明け暮れむとす          S.53.9. 長崎県長崎市桜町 桜町公園内             あさ明けて船より鳴れる太笛のこだまは長し並みよろふ山           S.31.10.  同  同 寺町64 興福寺境内              長崎の昼しづかなる唐寺や思ひいづれば白きさるすべりの花          碑陰なし  同  同 戸石町 大久保仁男の墓       いさゝかの風にもいまは荒れやすき園の千草にこゝろしたしむ  同 雲仙市小浜町北本町 夕日の広場公園内    ここに来て落日を見るを常とせり海の落日も忘れざるべし 長崎県島原市上の町897 宮崎酒店   幾重なる山のはざまに滝のあり切支丹宗の歴史を持ちて  同  同 中町776 原田染物店   温泉の別所の奥は遠く来て西洋人もまじりて住めり  同 東彼杵郡東彼杵町蔵本郷1876 彼杵神社境内      旅にして彼杵神社の境内に遊楽相撲見ればたのしも