6月30日(ガンパレ小説・その8)
若宮はスカウト(歩兵)としての腕は一流だった。
原に脳味噌まで筋肉なんじゃないのとからかわれていても、
「自分の脳は司令であります。
よって自分は手足を鍛えるだけで良いのです。」
と何時もにこやかに言い切っていた。
彼と白兵戦の訓練をしても、僕は何時だって勝てなかった。
何時も子供の様に倒され、若宮は白い歯を見せて微笑むんだ。
「これで俺の連勝記録がまた一つ伸びたぞ」
と。
あれだけ戦争のなんたるかを熟知し、
戦闘のなんたるかを極め、
戦術のなんたるかを行動で示していた人間が。
スキュラの光線一閃で死んでしまった。
どんなに苦しい特訓も笑顔でこなす彼。
彼が今までしてきた苦労は、全てスキュラの
無造作に放った一閃だけの為にあったのか?
僕達が苦労して生きているのは来るべき終わりへの足掻きでしかないのか?
僕は壬生屋が隣に居る事さえ忘れ、震える手を握り締め、
小さくそのベッドの上でうずくまっていた・・・。
6月29日(ガンパレ小説・その7)
声にならない悲鳴をあげていた。
声にならない叫びをあげていた。
声にならない思いを吐いていた。
僕は若宮を殉職させたスキュラにコの字を描くように近づくと、
ありったけの銃弾と砲弾を目に入る全ての幻獣に撃ちこんだ。
弾が無くなったら銃を捨て、拳と左手の超高度大太刀で敵の中を切り結んでいった。
そこから先は覚えていない。
気がつくと、心配そうに壬生屋が僕の前に座っていた。
「あ、気がつきましたか」
年中袴を着ている壬生屋が、何時も通りの服装で微笑んだ。
「ここは・・・どこ?」
見慣れない部屋のベッドの上で、僕は寝ていた。
白い患者用のと思われる服を着せられて。
「病院です。身体への損傷は見つからなかったそうなので、
意識が回復したら連れて帰れと本田先生が言っていました」
もしかして・・・全て夢だったのかな?
そうだったら、嬉しいのだけど・・・
「あの、さ。皆、無事だった?」
その言葉を聞いた瞬間、壬生屋の表情が曇った。
「滝川さんは、幸い右足の骨折だけで済みました。
若宮さんは・・・わ、若宮さんは・・・」
震える身体を両手で包み込むように押さえ、
壬生屋は僕に最後の言葉をしぼりだすように言った。
「・・・スキュラに、殺されました。
若宮さんのモノと解るものは、何一つ無かったそうです・・・」
今にも零れ出しそうな涙を必至に堪え、壬生屋は気丈にも全ての言葉を吐き終えた。
今まで苦楽を共にしてきた戦友の死―――。
初めての経験が、僕の心を鷲掴みにして離さなかった・・・。
6月28日(ガンパレ小説・その6)
ズガァァァン!!
鈍い音が、後方で轟いた。
「スキュラ」の遠距離破壊光線を間一髪の所で避けた僕のすぐ後ろのビルが、
跡形も無く砕け散り、崩れ落ちていった。
数分前まで学校で普通に授業を受けていたとは思えない世界だった。
僕達は今、生死を決める崖の上で、誰の為にか必至に戦っている。
戦況は極めて不利だった。
いくら戦闘に慣れてきた僕らと言えど、
大型戦艦に匹敵する「スキュラ」が3体も居ては、
逃げ惑うだけで精一杯だ。
「スキュラ」はその容姿とその不気味な眼光から発する破壊光線の威力から、
空中要塞の異名を取る「モンスター」だ。
人間側の犠牲者の大半がこの「スキュラ」によるとの報告は、
あながち嘘ではないなと嫌でも実感せざるをえない。
「スモークを持っているのは、滝川だけか!」
後部座席に座る舞が悔しそうに叫ぶ。
スモークとは対スキュラ戦の必須アイテムとも呼べるモノで、
敵の破壊光線の威力を格段に下げる事が可能だ。
僕達が持っていないのは背中に背負う多弾頭ミサイルのせいで、
戦場で自由に動く為にはあまり武器が持てなかったのだ。
その必須アイテムを持つ滝川は、序盤いきなり特攻してスキュラに撃破され、
命からがら逃げ出した。
僕達もまさか滝川がそこまで無茶するとは・・・思わなかった。
既にこの戦いで味方軍は敗走している。
後残るは・・・スカウト(歩兵)の若宮のみだった。
若宮も滝川同様・・・少し無茶する所がある。
早く助けに行かなければ―――。
そう思った瞬間、若宮は光に包まれ・・・
・・・跡形も無く消えてしまった。
6月27日(ガンパレ小説・その5)
「速水。お前は変わったな」
「ふぇ」
昼休み、プレハブ校舎の屋根の上で唐突に彼女はそう言った。
僕は思わず突拍子も無い言葉を返してしまったが、
口の中のサンドイッチを噴き出すよりマシだろう。
「何、唐突に」
僕は舞にそう微笑む。
彼女はサンドイッチをほうばりながら、
だが真面目な表情でこちらを見ている。
「最初会った時は何故お前が私と組むか解らなかった。
だが今は納得できるぞ。お前は、強くなった」
そう満足そうな表情で言い終えると、
舞はまたサンドイッチをほうばる。
僕が変わった・・・
・・・確かにそうかもしれない。
最近では出動しても被弾する事も少なく、
何より「殺す効率」を理解してきた。
一回の出動で敵を倒す数は、小隊全体の撃退数の
約半分以上になってきた。
だが僕はそれに素直に喜べなかった。
殺す事に長けてきた事は自覚していた。
そうした成長に自分自身驚くと同時に、
精神部分はどこかに取り残されていた。
汚い物を認めないかのように・・・
多分、僕の中身は何も変わっていない。
そう、信じたかった。
6月26日(ガンパレ小説・その4)
「終わった・・・か」
「うん」
舞の言葉に、僕は静かに答える。
幻獣の返り血を浴びて真紅に染まる士魂号は、
落ちる夕日に照らされてその身を一層赤くしていた。
「相変わらず、綺麗なモノね」
整備士班長の原素子が僕に微笑んでそう言った。
「ありがとう」
僕は少し微笑んだだけで、その場を離れようとした。
「待って。さっきのは嫌味じゃないわ。
貴方のおかげで人員が一号機の修復に割ける。
そういう意味で言ったのよ」
彼女は少し困ったような顔で僕の背中にそう言った。
僕は一瞬の間を置いて、振り向きながらに苦笑する。
「解ってる」
そうとだけ答え、歩を進めた。
6月25日(ガンパレ小説・その3)
タタタタタタ・タタタタタタタ
右手に構える銃口から、小気味良いタイミングで火が吹いていく。
その音に合わせ、照準を合わされた幻獣は踊るように倒れていった。
必要以上の射撃は行わない。用意はしても。
僕はもう冷静だった。
哀しいくらい平常だった。
何時からこんな命の駆け引きに慣れてしまったのか・・・
「速水、左!!」
「うん、解ってる」
舞の言葉にそう静かに答え、僕は左手に持つ大太刀を左に薙いだ。
士魂号のすぐ真左から迫り来ていたゴブリンの胴が真っ二つに裂け、
そのまま声も出さずに崩れ落ちた。
ゴブリンの血が派手に士魂号の装甲を彩る。
・・・僕は、変わったのだろうか・・・
初陣の頃は、幻獣の体から噴き出す赤色の血を見ただけで、
嘔吐感を覚えたものなのに・・・。
左手に握り締める大太刀を自在に操りながら、敵を駆逐していく。
切り結び、横に飛び、切り結び、間隔が空いていれば射撃・・・
少し、解った気がする。
僕は戦闘に慣れた訳じゃない。
色々な事を、考えないようにしているだけなのかもしれない・・・
6月24日(ガンパレ小説・その2)
僕達が駆けつけた戦場は既に荒廃としていた。
街は破壊され、無残なものだった。
だが街に人影は見られない。
どうやら皆先に非難していたようだ。
「畜生!俺らの国で好き勝手にさせっかよ!」
士魂号一号機に乗る滝川がそう吼えた。
相変わらず滝川は熱血だ。
自分のしている事、それが正義だと信じて疑わない。
彼の単純さが少し羨ましく思う・・・
「行くぞ、速水」
後部座席でコンピュータを自在に操りながら舞が言った。
「解ってる」
そう短く答えて僕は3号機を発進させる。
滝川はその単純さと熱血さで、時々一人で突っ込みがちだ。
それはひどく僕らをハラハラさせる為、僕は何時も彼の後を追う。
「こっちは、任せて下さい」
2号機に乗り込んだ壬生屋がそう僕に微笑みかける。
僕は少し微笑んで頭だけ肯いて見せた。
僕が滝川のサポートをするのは、殆ど暗黙の了解になっている。
知らないのは・・・滝川くらいだろう。
敵には・・・ゴブリンとゴブリンリーダー、それと・・・ミノタウルスか。
それほど厄介な相手ではないな・・・。
ふと、冷静に状況判断している自分に気付く。
初陣では、何もできなかったのに・・・
僕達の小隊は殆ど10代で構成されている。
幻獣の攻撃は熾烈を極め、ついに学徒兵が徴兵される事になったからだ。
だがそれでも・・・形成は極めて人間に不利な状況下にある・・・
「速水!ぼけっとするな!敵を射程内に捉えたぞ!」
舞の声が僕の意識を呼び覚ました。
そしてその瞬間、反射的に僕の指はトリガーを引いていた。
甲高い銃声と獣の咆哮が、街に響き始めた。
6月23日(ガンパレ小説・その1)
今日も世界の何処かで人の命が消えている。
彼らの命を奪うモノの多くは、時間でもヒトでも病でも無い。
幻獣―――それが僕達人類の敵である。
「総員緊急配備。出動だ」
善行の冷ややかな言葉が頭上から降りかかる。
未だ一度も変わった事の無い、何時もの台詞。
この出動が義務以外の何物でもない。
彼の口調がそう告げているようだった。
「速水、行くぞ」
同じ機体の後部座席に座る芝村舞がそう言った。
「あ、ああ」
僕は暗い目のまま何と無しにそう答える。
これで一体何度目の出撃だろう?
殺し、殺され、一体その先に何があると言うのだろう?
僕より少し前に立つ舞は、何か言おうと口を開きかけたが・・・
僕がそれに気がついたと解るとムスッとした顔で口を閉ざした。
僕は思わずうつむく。
・・・僕は、ここに居て良いのだろうか・・・
だが、考え込んでいる暇は無い。
「士魂号3号機、用意できました!」
僕らは、急いでそれ・・・士魂号と呼ばれる、人型のロボットに乗り込んだ。
今日も人は死んでいく。
人類の敵たる幻獣も死んでいく。
僕らの戦う先には何があるのか・・・
取り敢えず、その答えは未だ出ていない。
6月22日(熱〜)
そうそう、それで結局風邪は一日で治しました。気合で(汗)いや、だって
学校に行かなきゃ単位やばいんですもの(汗)でもさすがに39度の熱出した次の日に動くのは辛い。
身体中だら〜くてつら〜くて頭ふらふら〜でした。あんま授業の内容覚えてないっす(汗)
・・・出席の為だけに学校行くのって、何か不毛だ・・・(何を今更)
しかしねぇ、本当に久々の熱だったんですよ。もーあっつぃ夏だっつーのに身体は寒くてガタガタ震えるわ、
体の節々は痛いわ、吐き気はするわ、後頭部はガンガンするわ・・・本当にやばかったです。
もーHelさんの介護が無かったら俺やばかったかもしれません(笑)いやー気分的にもそんな感じに
弱ってたって事で。
でもね、介護されてて思った。
これって美味しいって。
俺って駄目人間ですか(笑)
6月21日(喘息ぼーい)
ぐぇふぐぇふ、ごほごほごほごほ、ぐはっ!!!(吐血)
・・・・・・どうも、風邪ひいて39度の熱を出してしまったカルマですぅぐふぉあ!!(吐血)
沖田そーしも真っ青な吐血っぷりです。いや、血はさすがに吐いていませんが。
セキが止まらないので泣けてきます。でも咽喉痛くないって謎ですねえ。
あれですかね、持病の喘息が再発してしまったんすかね。はー。あれは本当に辛いのになぁ。
いやぁ、僕も子供の頃は←のように可愛いかったものです。
幼稚園くらいまでわ。小学生に入ったら、もー手のつけられない位の
悪ガキでしたからね。しかも最近の悪ガキみたく、知能犯でしたからねぇ。嫌な奴でしたよ。
よく先生達は放っておいたものです。まぁそれもこれも俺の人徳って奴ですかね。
・・・そこ、激しく否定しない。
ま、そんな茶目っ気のある僕は喘息持ちでした。夜中眠れずにヒューヒューヒューヒュー言いながら
家族に心配させていたもんです。たまに兄貴に「寝れネェだろ!」と怒鳴られた事もありましたが。
・・・あのヤロウ・・・(思い出してきたらムカついたらしい)
しかしまぁ水泳を始めたらこれがピタッと止まったんですよね。やっぱり運動は偉大です。
そういや結構体育会系な部活に所属していたから、運動は継続してやっていたんですよねえ〜。
・・・あれか、最近運動不足だから喘息再発したのか・・・?
・・・俺が太る日も近いかも知れぬ・・・(汗)
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