旅、心ひとつで...

 旅に出よう、体一つで。重い荷物は邪魔になるだけだね。

 旅に出よう、思いつきでいい。着の身着のまま、風の向くまま。

大いなるモノの前で、何かが洗われ、変化するのを感じるのもいい。
心なんて、そんなに柔らかく移ろいやすいモノ。

 旅に出よう、心一つで。力を抜いて、目をつぶればいい。

 旅に出よう、想いの世界で。感じたままの心でいいんだ。

  ちっぽけな自分の中で、何かが壊れ、硬くなってしまっているね。
  心なんて、こんなにカチカチで、融通の利かない代物。

 不意に我に返ると僕はまだここにいて、現実という道端に立ちすくんでいる。何かに背中を押され、ただ流されようとしている。沢山背負い込んだもらい物の処世術は、結局一つも役には立たなかった。
 でも君の目がまだ澄んでいたなら、アスファルトの隅に生えたヒョロヒョロな雑草の中にさえ、何かを見つけられるハズなんだよ。

  旅に出よう、いつでも、どこででも。

   旅に出よう、風向きが少し変わったみたいだから。

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