シンクロニシティー、或いは唯の偶然

 その人にあんなメールを送ったのは、一体いつのことだろう。
数ヶ月前か、数年前の様な気もする。

 言葉のカミソリで書き上げたあの汚いメールを。

 頭の中で、時間がそいつを美化し、何か素敵な詩篇の
様な気にさえなっていた。

 その日の日記の最後の部分がこの男の誇大妄想癖を
刺激する。
  ? ?...、 !、 !!...

 確かに予言したはずだ。------ 今度は予言者らしい。

 これは諸行無常の...、そう、「諸行無常の冒険」そのものだ。

 確信はすぐ揺らぎ、幻想の証拠を欲しがる。
過去を徘徊するが...、見つからない。そうだ。メーラーだ。
そいつの時計の針を逆回転させてみた。見つけた。
日付は9月3日。思いのはか近い過去に少し拍子抜け。
9月前半、 8月後半。タイムマシンの目盛りを合わせた。
 リアルタイムの時に感じた何かは、やはり見つからない。
その言葉は何かを突き動かし、何らかの変化を促した筈なのに。
唯一つ確からしいこと。それは少なくとも少しの「不快」を
与えてしまったということ。
 検察官が証拠のメールを読み上げる。感慨はない。あるのは
こみ上げる嘔吐感。偽善者の悪意。未必の殺意。
 弁護側の証人はいない。有罪は確定だろう。でも実刑はない。
被告に必要なのは精神鑑定とカウンセリング。大した事じゃない。

 いつもの妄想の旅は終わり、そして忘れる。
いつものネットサーフで、しかし「半年前」というキーワードに
思い切りつまずいた。僅かの恐怖を味わいながらも、不敵な
笑みを浮かべる彼。それ自身を観察する別の自己に気が付く。

 シンクロニシティー、或いは唯の偶然

 そんな単語を並べてみた。

 シンクロニシティー、それはまさに必然

 そんなこと、大した事じゃない。

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 何かを感じたんなら普通に書けばいいのに、普通にさえできない。
何を期待し、何にポーズをつけるのか。それを感じていながらも
投稿ボタンを押してしまう誘惑に今日は勝てそうもない。

 苦手な一人称単数は使わずに切り抜けられた。

 どうかこの投稿がはやく流れてしまいますように。

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