2001年

9月

9月3日

・数日前の走り書きを残して置こうと思った。

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何かを探して今日も徘徊する架空の場所。
やがて何を探していたのかさえ思い出せなくなってしまっている。
狼狽えてはみるけれど、それは多分ポーズでしかないんだろう。
依存している、確実に依存している。
生産もなく、共鳴もなく、孤立のみが浮き上がる。
僕の中には否定と肯定が入り交じり、醜いエゴがそいつを装飾している。
言葉は便利だね。でも言葉は不便だよね。
不自然な躰の一部が自然に感じること。
伝えたいことは、多分ある。今はよくわからないけど。
伝えたい人はいる、今だに誰かわからないけど。
それが今見ている貴方ではないことだけは、なんとなく感じる。
不意打ちの秋が気分を不安定にしただけで、
この言葉には特に意味はない。
この自己にも特に意味はない。
その閃きは5秒で消えてしまった。
焼けた肌さえ無様に思える朝の偏頭痛。
現実の優先順位と自分の中の重要性が逆転するのはなぜだろう。
怒りや憎しみの中に、自己嫌悪の裏返しが透けて見えた。
沢山のコミニュケーションツールで武装してみたけれど
ウインドウには記号としての他者が名を連ねているだけで
何が変わったのか、何を欲しているのか、尚わからなくなる。

9月19日

---例えばそんな簡単なこと---

 窓から差し込む弱々しい日の光。弾けないのに存在する小物置き場と化した埃だらけのシンセ。そのスタンドの左の前の足の途中。弾かないから当然無用の空間に成り下がっているそのスタンドの間に、ギターアンプが鎮座して取りあえずの存在理由になっている。スタンドの足とアンプの間だの最も意味のない隙間に漂う蜘蛛の糸が1本。光と風の魔法に輝いて、とても綺麗だとぼんやり思った。そんなモノに見とれている男の存在も、また何の意味を持っていない。

 スカパーのアンテナからのびた灰色のケーブルの上に雨蛙がしがみついているのを見つけた午後。灰色の上にいて、緑色のままの間抜けな奴。まさか自殺する気じゃないよね、...なんて不謹慎な思いつきに、思わず笑ってしまったヘラヘラした奴は誰だろうか。そういえば、そろそろ雨蛙の季節は終わりなのかな?蛙さんの鳴き声より虫さんの鳴き声の方が、どう考えたって似つかわしい季節だよね。ちょいと出掛けて帰ってきたら蛙君、まだ緑のままで、眠ったようにじっとしてた。君はそこで死を待っているの?死と対峙しているの?運命を呪ってるの?春を待っているの?君には悪いけど春は当分来ないと思うよ。そんなところにじっとしてちゃ、その柔らかい肌が乾いちゃうよ。肌が乾いたら死んじゃうんだろう?冬眠するにはまだ早いかな?君には来年の春って言葉が意味あるのかな?
 そんなこと僕にはどうでもいいことだよね。でもやっぱり気になるんだよなぁ〜。今、見に行ったら、まだ彼はじっとしてた。眠っているのか、死んじゃっているのか...、でも、そっとしておいたよ。

 例えばそんな簡単なことなんじゃないかなって思ったよ。よくわからないけどね。今日の収穫。今日のゴンタ3号の意味不明だな。

自分の心のバランスの為に吐く言葉、そしてその棺桶。
9/24
・さっきの夢。僕らは話していた。みんなの顔が見えた。体は無かった。ふわふわ浮いていた。ただ淡々と話していた。静かな気持ちだった。いつもと同じだった。ふと僕の近くに誰かがあらわれた。彼は痩せてヒョロリと長い肉体を持っていた。彼だけが肉体を持っていた。顔がよくわからなかった。タイトな洗いざらしのジーンズ、白いシャツ、それに白っぽいバンダナ。年の頃なら20代前半。気弱そうな純真そうな印象。そして猫背。彼が突然つぶやいた。「ここにおいてくれませんか...?ここにいてもいいですか...?」僕は少し驚いて振り向いた。みんなの中で僕が一番彼に近かったから、僕に言ってるのかなって、戸惑っていた。「とんでもない。僕は勝手に居たいからここにいて、ただそれだけだよ。」口に出したのか、思ったのかわからない。ほとんど同時にみんなの同じ声を感じた。そこで意識が戻った。目はつぶったまま、脳味噌も相変わらずヒートアップしたまま...。深く眠りたいと感じていた。

・このところ直ぐに頭が痛くなる。考えようとしている訳ではない。言葉になる前の感覚から日本語への変換が異常に速い。言葉になる前の感覚を認識する前に勝手に変換されている感じ。ブレーキが利きにくくなっている。それで疲れる。あるいは最も核心と思われる場所を見つけにくくする為の、自我に対する無意識領域からの反抗のメッセージなのかもしれない。簡単にいうと、考えたくない。隠したい。そうかもしれない。

9/25
・早く自然に枯れたいな。
・確かに君の言う通りだ。変は無理に変を演じると「変」でなくなる。でも自然でもない。不自然な「変でないモノ」。こんなの犬でも食わないな。
・犬と言えば...。犬は生きたいなんて思わないよな。犬は自然になんておもわないよな。オイラが一緒の遊びはもうお終いだよって合図を出す。離れて背中を向けてお尻を2回叩く合図。そうするととっても悲しそうな顔をして、頭を少し傾ける。きっと胸がキュッてしてるんだろう。オイラもキュってしてるけど。そういえば君は犬が嫌いだったかな。スマンスマン。腹が減った。

・そういえば・・・。インディゴって言葉が気に入っていて、学生のころから気に入っていて、いつかどうかしてやろうって思ってた。なのにあの野郎、俺の心をいつ盗み見したのか「インディゴなんちゃら線」なんて使いやがって悔しいったらありゃしない。いつのことだよ一体って言わないで。だから、あの野郎にいつか一泡吹かせてやりたい。くそー、絶対吹かせてやる・・・。

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