アルミニウム屋

「にいさん、特上のブツ、どうだい?」
「アルミナは火星産、電気はお日様由来だぜ」
ピカピカに光った1円玉をジャラジャラさせながら
目深にかぶったカウボーイハットのグレーは
電飾のレインコートの襟を立てたながら僕に囁いた
昏睡という名前のタバコに火をつけながら
僕は無機質な笑いを浮かべてみた

交尾より気持ちいいのだろうか
そのブツは
記憶の彼方から「交尾」を検索しながら
もつれたロジックが整列するのをボンヤリ眺めていた
「発情してから射精するまでの数秒で...
アルミ0.5枚に相当」
有機化合物みたいな声が耳の中でベリリウムリボンを刺激する
1円玉をひとつつまみ上げて
生殖機能を失った股間に想いをはせてみる

「にいさん、特上のブツ、めったに手に入らないぜ?」
五月蝿いグレーの声がもう存在しない心を刺激していた

 

 

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